第2話 二人の革命家のパン
ある西の革命家は朝食にパンを食べていた。
彼の食べるパンを侍女たちは「見た目はパンだがパンではない」と陰ながらに言っていた。
そのパンは健康に最大限考慮した、普通の人が食べれたものではない味のパンだった。
それを彼は顔一つ変えずに、むしろ美味しそうに食べるので侍女はとても不思議がった。
彼の革命家としての活動は今の所あまり良い方向に進んでいるとは言えなかった。
しかし彼は不味いパンを齧りながら「待つべし」と静かに言うだけだった。
そして、「100年生きてこの国を救う」とずっと言っていた。
ある東の革命家は朝食にパンを食べていた。
彼の食べるパンは、この世のものとは思えないほど美味しいパンだった。
しかし彼の専属の医者は「あのパンは体に毒だ」と言っていた。
医者によれば、あれを食べ続ければ50年までしか生きられないとのことだった。
それでも彼は医者の心配を無視し、毒のパンを食べ続けた。
彼の革命家としての活動は今の所悪くはなかった。
彼は毒のパンと毒のスープ、毒のサラダを食べながら
「待つのではなく迎えに行くのだよ」と高らかに笑いながら大声で言った。
そして、「50年でこの国を変えてやる。50年全力で楽しんでやる」とも言っていた。
西の革命家も東の革命家も同じ幸せそうな顔で朝食を食べていた。
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