ヒトノユクアテ

@kinnse

第1章 ナンノタメに。

 この世の中に生きている人。特に、毎日に生きがいを持ち、楽しみを持ち、毎日を幸せに生きている人に問いたい。


  『ナンノタメに生きているのか。』


 僕は昔から気が弱かった。小さい頃がいじめっ子の標的だった。特に小さい頃から取り柄はなかった。勉強も平均、スポーツはやっていたが突出した成績もなかった。そんな僕はきっといじめっ子からしたらいい標的だったのだろう。

 そんな僕の人生の転換期は高校3年生の冬だった。今まで好きな人はできても告白する勇気などなく、そもそも女の子と喋ることすらまともに出来なかった僕に初めて付き合えるかもしれないと思う女性が出来た。お互い好きだと言い合うほどの両思いで付き合うのは時間の問題だった。ただその女性は家庭内に問題があり中々人に信用を持てない女性だった。

 その逆で僕は好きな人には一直線。全てを捧げるくらい一途で、今思うと悪いことをしたと思うが、友人の誘いや、好きな趣味など二の次だった。

 結果は、何気ないことで喧嘩とすれ違いで付き合うことはなかった。また後々話を聞いてみると僕達が付き合うことをよく思わない女性の友人が僕を悪人に仕向けるような嘘をついていたらしい。

 人生初めての引きずるほどの大きな失恋。心にポッカリ穴が空いた気分だった。お恥ずかしいことにその先半年も引きずった。

 全てを捧げようと思っていた。高校を卒業したら働いて、その人との将来を描いていた。将来は今より栄えている街に2人で住んで、休日にはたくさん旅行に行って、そんな僕の人生のプランは、儚く一瞬にしてなくなった。

 そこからだろうか、人を信用することが容易に出来なくなって、小さいことでも不安になって、1つのミスが許せなくなってそして。


 『ナンノタメ』に生きているのか考えだしたのは。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る