嘉澄

Take_Mikuru

嘉澄

〇空地・夜


赤い車が上下に揺れている。

車の上で下半身裸の男がはだけたスーツ姿の女の上に乗って激しく腰を振っている。

車の揺れる音、男の唸り声が聞こえる。


額に汗をかき、思いっきり踏ん張っている嘉澄(58)。あすか(24)を見る。


嘉澄「おい、何か感じるか?」


全く持って無表情のあすか。


嘉澄「(焦った様子で)おい!おい!!!」


思いっきりあすかをビンタする嘉澄。

全く持って無表情のあすか。

困った様子で目を強く瞑る嘉澄。あすかに視線を戻し、


嘉澄「おい」


片手であすかの首を掴む嘉澄。


嘉澄「(少し顔を近づけながら)これでとうだぁ!?あん!?」


全く持って無表情のあすか。

視線を外し、思わず吐息を漏らす嘉澄。あすかに視線を戻し、


嘉澄「(目に涙を浮かべながら)頼むよ、何か感じてくれよぉ!なぁ!(顔を近づけ)なぁ!!!!」


全く持って無表情のあすか。

思いっきり目を瞑り、俯きながら泣き始める嘉澄。

どんどん背中が丸まっていき、あすかの胸元に顔を埋めながら静かに泣き続ける。

全く持って無表情のままのあすか。

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