白い私と黒いあなた
@Neshia
第1話 白と黒の邂逅
目が覚めたら、真っ白な部屋のベッドの上だった
部屋は床も天井も真っ白、ここはどこだろう?
私が辺りを見ていると部屋の中に人が入ってきた
入ってきた人は、皆白い服を着ていた
その中の一人が、私に近づいてこう言った
「やっと目を覚ましたのね、気分はどう?」
どう、と聞かれたが私は答えられず、俯いた
その後、また別な人が私に近づきこう言ってきた
「自分のナマエ分かるかな?」
ナマエ?ナマエって何だろう?
私はそんなことを考えながら俯いていた
白い服を着た人たちは私にいくつか問いかけたが、私は反応を示せずにいた
「やはりまだ記憶や意識が曖昧みたいだな」
「そうですね。また暫くしてから出直しましょう」
白い服を着た人たちはそのような会話をしつつ部屋から出ていった
私は改めて部屋を見回していた、白い壁、白い天井、白いベッドに白い掛け布団、棚や花瓶などもあったけど全部真っ白だった
「私はなんでここにいるんだろう...」
そうポツリと呟いた後、私は改めて天井を見ていた
そんな時、扉を叩く音がした
「...はい」
私が返事をすると扉が開き、そこに女の子が立っていた
背格好は私と同じくらいだった。唯一違ったのはその子が真っ黒だったこと
「...真っ黒」
私がそう言うと彼女は私のいるとこまで歩いてきて、挨拶した
「こんにちは」
「こんにちは...」
彼女の挨拶についうっかり返してしまった
「ふふっ、あなたは誰?って顔してるわね」
私は無言で頷く、その反応見てから彼女は言葉を続けた
「私はあなた、あなたは私」
「私はあなたであなたは私?」
謎かけのような答えをする彼女に私は首をかしげた
「まだ分からなくて大丈夫、いずれ分かる日がきっと来る...」
そう言って彼女は踵を返して扉の前で立ち止まり、再び私の方へ振り向いた
「今日はあなたの顔を見にきただけ、機会があればまた会いましょう。ふふっ」
私に笑顔を向け、真っ黒な彼女は私の部屋を後にした
「私はあなた、あなたは私...」
彼女の言った言葉を再び口にする
「私はあなた、あなたは私...」
もう一度口にする。自分でも何故口にしたか分からない
もの思いに耽っていると、再び扉を叩く音がした
「はい...」
「失礼します、食事をお持ちしました」
入ってきたのはさっきの白い服を着た人だった。食事を持ってきてくれたらしい
私のベッドに備え付けられていたテーブルを広げて料理を並べていく
「お済みの頃にまた伺います」
そう言って白い服の人は部屋から出ていった
並べられた食事はサンドイッチとスープ、ごく普通のメニュー
ぎゅるるるるる...
私のお腹は大きく鳴った、誰もいないけどちょっと恥ずかしいと思いつつ、私は並べられた料理を食べることにした
「いただきます」
私はゆっくり食事を始めた
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並べられた料理を平らげて食休みをしている時にまた扉を叩く音がした
「どうぞ」
「失礼します、食器をお下げに参りました」
白い服の人はそう言うと重ねてある食器をトレイに乗せてそのまま出ていった
「...何で食べ終わってるのが分かったんだろ?」
私は少し疑問を抱いた、だけどお腹がいっぱいになったせいなのかそのまま眠ってしまった
「すー...、すー...」
「ふふっ、よく寝てる。意識が目覚めたばかりでかなりの疲労があったようね」
「健康状態は特に問題はなさそうですが、記憶の方は戻るのにまだまだかかりそうです」
「仕方ないわ、連中にこの子を取られるかもしれなかったんだから」
「ん、んー...」
声が聞こえると思い私は目を覚まそうとしていた、しかし睡魔に勝てずそのまま再び眠ってしまった
「ふふっ、あなたは私、私はあなた。近い未来、この言葉の意味を理解する日が来るから、今はゆっくりお休みなさい」
その人はそう言うと私の頭を撫でたような気がした
あなたは私、私はあなた
この言葉の意味を知るのはまだだいぶ先のお話です
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