チート能力なしの私は特技の耳かきで異世界を生きていく

バスチアン

チートおじいちゃんに耳かき



ガリガリガリガリガリゴリゴリゴリゴリ…………




『何という事だ。母が不治の病に侵されて、もはや余命幾ばくもない。どうすればいいんだ』

『大丈夫よ。このポーションを使って』

『おおっ! 母の病が瞬く間に!? 何と素晴らしい効能だ!!』




ゴリゴリゴリガリガリゴリガリゴリリッ…………




『大変だ。暴走した馬車に轢かれて子どもが大怪我をしたぞ。今から治療院に行っても間に合わない』

『そんなときはこのポーションよっ!』

『凄いぞ。あの大怪我が一瞬にしてっ!!』




ゴリッガリガリガリゴリガリリリ……ゴリ………




『俺の妹は生まれつき足が不自由なんだ』

『魔獣に襲われて利き手を失ってしまった』

『耳が突然聞こえなくなったんだ』

『大丈夫、このポーションがあれば全て解決よ!!』



ガリガリゴリゴリゴリリガリリッガリゴリゴリゴリゴリガリガリゴリガリガリリリゴリリリガリゴリゴリガリッガリゴリガリリッゴリゴリゴリガリガリゴリガリゴリゴリゴリガリガリゴリガリガリガリガリゴリゴリ…………






異世界転移したらポーション無双出来る。

そんな風に考えていた時期が私にもありました。





私はうんざりしながら乳鉢の中身を磨り潰していた。目の前にあるのは、青臭い葉っぱと、不味そうな乾いた実と、斑模様の石だ。それを乳鉢と乳棒で潰したり、薬研やげんいたり、臼で轢いたり、とにかくガリガリゴリゴリ…………


「ああぁぁっ、もう、くそっ、やってられるかぁぁ!!」


思わず叫ぶ。山になった粉をぶちまけなかったのはギリギリの理性だった。

私が今いるのはランドナ王国の王立学院の中にある薬学の研究室。そう、私こと上倉敷かみくらしき 小百合さゆり・日本人(25才)は絶賛異世界転移中なのだ。


「異世界だったら、魔力とか魔法とかご都合主義パワーでポーション出てきなさいよぉ!」


大学に入学するまではよく読んでいたネット小説の類を思い出しながら、もう一度叫ぶ。昔は読んだ小説だと、異世転移した主人公は聖女だか何だかのチート能力があって、こんな訳わかんない葉っぱやら、石やら、肝やら何やら磨り潰して混ぜなくてもぴっくらポン!でポーションが出来上がっていた。だって言うのに、何で私はこんな苦労してガリガリゴリゴリ材料磨り潰さなきゃならないのよ。

というか25才になって異世界転移とか、本当にやめて欲しい。薬剤師の資格も取って就職も決まってたのに。


「確かに高校生のときは、こういうの憧れてたけどさ……」


この世界に来てから何度となく愚痴った言葉を口にする。そんな時だった。


「どうした? 大きな音がしたようだが?」


胡乱な顔をしながら男性が研究室に入って来た。濃い茶色の髪に青い瞳、スラリと伸びた四肢は見栄えがよくイケメンなのだが、不愛想な表情がそれをぶち壊しにしている。彼の名前はタッキーラ・ズウ。この研究室でともに働く同僚だ。


「また何か叫んでいたのか?」

「うっ……それは」

「お前が如何に『空迷い』だからとはいえ、あまり奇行が過ぎると周囲から疎まれるぞ」


何ともカッコイイお顔から放たれる視線に真っ向から射抜かれて、ちょっとだけ怯んでしまう。

『空迷い』とはこの国における異世界転移した者の総称だ。どうにもこの国では昔から異世界から人がやって来るという事例が稀にだがあったらしい。ちなみに現在のランドナ王国のは異世界人だ。そう、聖女様は異世界人。そして私は聖女様じゃない。別に一緒に異世界転移した女子高生が聖女だったとか、そういうことじゃない。私が異世界に来たときにはその聖女様はもうすでにいて、立派な聖女様の仕事を果たしていたのだ。


「ソレハドウモスイマセンデシタ」

「うむ、ならいい。この前も部屋の前に来たら『ステータスオープン』などと奇声が聞こえて来たからな」

「それを言うなぁぁっ!!」


いや、言うでしょ! ステータスオープンって言うでしょ! 異世界に来たんだからさぁ! そりゃあ、確かに25才にもなった女がステータスオープンとか言ってたらイタイけど、異世界なんだからさ、イイじゃん、言ってみても!!

え? ステータスがオープンしたかって?

出なかったわよ!!

だから死ぬほど恥ずかしいんだよっ!!!


「だからイチイチ奇声を上げるな。それともお前が生まれた国では、それが普通のなのか?」

「そんな筈ないでしょ!」


私は地球と日本人の名誉を守るために全力で否定する。


「そうか、ならお前がやはりおかしいだけという事か」

「え? あ……いや、それは……」


あれ?

ここで否定したら日本人の名誉が守れない?

一瞬だけ逡巡する。しかしその間にタッキーラはすっかり納得してしまったのか、棚に並んで瓶の行列に意識を向けていた。


「えっと……」

「何だ?」

「あ、いや……」


瓶詰に夢中なタッキーラはすでに私のことなんて見ていない。頭脳明晰、容姿端麗な彼なのだが、研究者肌で他人との意思疎通に少々難がある。おまけに標本マニアで古今東西の珍しい動植物を集めたいという一風変わった夢の持ち主。ふっちゃけ変り者というか変人。それがタッキーラという男性だった。

ただコミュニケーションに難のある変人だったとしてもお顔の造形は非常によろしいせいで、不覚にも私は瓶詰の中に浮かぶ植物の根を見てうっとりとしている彼の横顔に一瞬目を奪われてしまう。それが悔しくて私は軽口を叩いた。


「相変わらず好きよね。標本集めるの。この前も葉っぱ眺めてニヤニヤしてたし」

「ああ、世界樹の葉だな。あれは良いものだ。この国よりも遥か西の国にある天を衝くほどの巨大な木。その頂に生える若葉だ。現地の蛮族からは『神の木』と言われており、成人の儀として世界樹の頂に挑む。登り切ったものは勇者として称えられると言われている」

「木登りで勇者になれるんだ?」


何よそれ? 勇者の称号が軽いな。

ていうか、コイツやっぱり標本の話になると饒舌だな。やっぱ変態だ。


「先生も若い頃登ったらしいのだが下手な山よりも高いらしい」

「え!?……山より??」

「ああ、落ちれば先生ですら命がないような凄まじい巨樹ということだ。岩壁のような樹皮に指をかけながら垂直の幹を這うようにして登るらしい。休みなく登っても帰って来るのにまる二日かかったと言っていた。頂上近くになると雲がかかっていて、降りれなくなった者の遺体がいくつも木の枝や洞の中にあったそうだ」

「お、おお……さすがは異世界ね」


前言撤回、スゲーな木登り勇者。


「それよりも手を止めていいのか? 先生に今日中に終わらせるように言われてたんだろ?」

「分かってるわよ」


何だか気恥ずかしくなって視線を逸らす。そうして言い訳するように薬研に手を伸ばす。


ガリガリゴリゴリ…………


って、いて、つぶす。それを何度も繰り返す。タッキーラに「手伝って」とは絶対に言わない。これは私に任せられた仕事だ。

薬学部を卒業したと言っても、異世界の薬やら病気やらが分からない私はこの研究室ではほとんど役に立たない。ここに置いてもらっているのも半分はお情けだ。それこそがなければ放り出されていてもおかしくなかったのだ。

だから仕事は真面目にこなさないと駄目だ。


ガリガリゴリゴリ…………


今日のノルマがそろそろ終わろうかという時、この研究室の責任者が現れた。


「ふぉっふぉっ、サユリちゃん。材料は準備出来たかな?」


長い白髭に皺だらけの顔。現れた老人はまるで絵本の魔法使いのようだった。この研究室の長にして、この国での私の後見人であるカラッシニ先生だ。


「先生、どうですか?」

「ふむ、いいんじゃないかの」


出来上がった粉を見て先生は答える。如何にも適当なノリで答えてくれる好々爺とした態度だが、駄目な時は容赦なく笑顔のままでやり直しを命じるので油断は出来ない。何しろ私が異世界転移した直後、森の中で角の生えたデッカい熊に襲われていた際、颯爽と現れて素手で撃退するというチートおじいちゃんなのだ。


「サユリちゃんは筋が良くてイイね。拾って良かったよ」

「あ、ありがとうございます」

「タッキーラは覚えはいいんだけど、手先が不器用だからね」

「先生、そんなことは――」

「マンドラゴラの苗、枯らしちゃったの誰だったかな?」

「うっ……」


カラッシニ先生に言われてタッキーラは押し黙る。眉目秀麗、頭脳明晰な彼なのだが手先がどうにも不器用で助手としては少々心もとない。そもそも彼は先生の秘書みたいな仕事をしていて、材料の調達や交渉、書類仕事なんかが得意なのだ。元々は先生には他に女性の助手がいたんだけどしばらく前に結婚して退職してしまった。そこに上手いこと滑り込んだのが、この私という訳だ。


「サユリちゃんが来てからお仕事が楽になったね。森の中で拾って本当に良かったよ」

「それはどーも」


まるで捨て猫でも拾ったかのような言い回しだけど、実際拾われた身なので致し方ない。というか文句もない。魔獣の森あそこで拾って貰ってなかったら、私の異世界生活初日で詰んでたからね。

命の恩人である老爺に視線を向ける。すると先生はわざとらしく腰を曲げながら私に近寄って来た。


「ところでサユリちゃん、ひとつお願いいいかな~」

「何ですか?」

「ワシってば最近耳が聞こえにくいんだよね~」

「またですか?」

「うん。だからサユリちゃんに耳堀りして欲しいな~」


耳を差し出してにこやかに答える。つまり先生は私に耳掘り――つまり耳かきして欲しいらしい。

耳かき。

そう耳かき。

それは異世界転移したくせにちっともチート出来ていない私にとって唯一と言っていい武器だった。この国には耳掃除をするという習慣がない。そんな中で私が披露した耳かきを、このご老人はいたく気に入ってくれたという訳だ。


「ワシ、若い時はあっちこっち冒険したけど、この年になって、こんな素敵体験できるとは思わなかった」

「あんまり頻繁にしてもダメなんですけどね」

「頻繁じゃないぞい。もう3週間くらいしてもらってないからのぉ」

「そうでしたっけ?」


そう言えばそれくらいしていない気もする。

まぁ、本当は耳かきなんてしなくてもいいってお医者さんが言っているらしいけど、まぁそれはあくまで地球の話。異世界人のカラッシニ先生には関係ない……ということにしておこう。

わたしは机のなかから竹製の耳かきを取り出す。ちなみにこの国には竹はない。これは私が異世界に飛ばされたときたまたま持っていた数少ない私物のひとつだ。ちなみにその他に手元にあったのは、教科書とペンケース、財布に、スマホに、ハンカチ、ティシュと後は化粧品ぐらい。その中で耳かきが一番活躍しているんだから、世の中本当に解らない。ちなみに何で耳かきなんて持ち歩いていたかというと……まぁ、もともと耳かきするのが好きなんだ私は、するのもされるのも。そんな風に私はこれから地球の昔の人が言った『芸は身を助く』の格言を実行する。


「それじゃあ、やりますよ」

「やっほ~い♩」


子どもみたいにはしゃぐおじいちゃん先生。こんな人だけど、異世界における私の身元保証人。無下には出来ない。というか、見捨てられたら即詰みだ。

なので、機嫌取りと恩返しを兼ねて耳かきスタンバイ。とは言っても、別に膝枕で耳かきしてあげる訳でもない。長椅子の真ん中に座る先生の横に、私もちょこんと座り耳かきを構えた。


そんじゃあ、始めますか。


先生の耳の穴を覗き込む。

うん、さすかにそこまで溜まってはいない。

最近はすっかり手に馴染んできた耳かき棒をカラッシニ先生の耳の縁にそっと当てる。耳かきの先端を耳介に当て溝の部分を、つぃ~っとなぞっていく。


つい~~、つぃぃ~~、ついぃ~~~ぃ


一度だけでなく、何度も何度もだ。

ゆっくりと擦る。

なるべく弱く。

外側の部分だからと言って、強くし過ぎるとけっこう痛い。だから、弱く、ゆるゆると、撫でるようにだ。


「ぬぅ~、いい塩梅じゃの~」


を堪えるように先生は身悶える。

そんな先生を横目に、私は耳かきの先端についた匙を滑らすようにして溜まった垢を搔き出していく。

次は少し強めに溝を掘る。


ポリポリ、ポリポリ~ッ


音をたてて匙は進む。

指先に僅かばかり重い感触。それに比例して溝を掃除する耳かきの先端にはごっぽりと耳垢が掻き集められていた。


「にょほ~~っ、こそばゆいのぅ、エエ心地じゃ~」


ポリポリとした感触にカラッシニ先生が愉悦の声をあげる。

ふむ、悪くない感触だ。このまま耳の上をポリポリ、ポリポリ……


「サユリちゃん」

「何ですか?」

「そろそろ耳の穴の中もポリポリして欲しいのぉ」

「解りました」


まだ外の部分をやり足りないがクライアントの要望は尊重するべきだ。


「じゃあ、耳の穴に入れますね」

「ええよ~」


ニコニコ顔で応えるカラッシニ先生。いつも思うのだが、とてもあのとき熊の怪物を瞬殺した老人と同一人物には見えない。でも、多分ここで私が「お命頂戴っ!」みたいなノリで耳をズブッ! って、やろうとしたら、あの時の熊みたいに首が一回転グルっと回って、生き胆を抜かれるんだろうな……

そんなアホみたいなことを考えながら、耳の穴に耳かき棒の先端を滑り込ませる。さっきも見たが、耳垢はそこまで溜まっていないので、いきなり耳壁をガリガリしたりはしない。だからまず攻めるのは一番表面の部分。耳毛の先端にゴミが付着してタンポポの綿毛みたいになっている。それを匙の先端で揺らすようにして刺激した。


サワサワ、サワワ~~


「ほぅっ、くすぐったい……が、それも堪らんっ!」

「………………………」


多分この国で一番強いであろうおじいちゃんが異世界からやって来た小娘に耳かきされながら身もだえるというなかなかの地獄絵図。しかし今の私は耳かきの全神経を集中しているので、あまり雑音は気にならない。


「にょほほ、サユリちゃんが集中モードに入ったのう」

「先生、何を言ってるんですか?」

「タッキーラ、静かにするんじゃ。集中モードに入ったサユリちゃんの耳掘りはこっからが凄いんじゃ」

「はぁ?」

「……………………」


私は目を細めると耳の産毛の先端についたタンポポの綿毛のような耳垢に狙いを定める。


ザワ……ザワザワ…………ザワワッ


弱い刺激でくすぐるように耳の中を掻き混ぜる。

刺激は弱く、ただし音が聞こえるように大胆に。


「くぅ~っ、こそば気持ちいぃの~」


恐らくは耳の中はザワザワとした音が鳴り響いているのだろう。カラッシニ先生は心地よさに身をよじる。


ザワワ、ザワワ、ザワワワ……


耳の中を掻き混ぜる。

振れるのは毛先だけ。

音は大きいが、刺激は弱く。


「にゅほ~、らしてくれるのぉ」


ザワザワが堪らないのか、にょほにょほと奇声を上げる。にも変わらずタッキーラが茶々を入れることはない。まるで奇妙なものでも見るように……というより完全に奇妙な光景ではあるのだが、黙って私たちのやり取りを見守っている。


「う~ん、堪らんわい。サユリちゃん、そろそろ奥の方もポリポリして……!? ぬほ~~っ!」


先生が奇声を上げたのは、耳壁にひとつだけこびりついていた小さな耳垢の塊に私の操る耳かきの先っちょが触れたからだ。

うん、今日のメインディッシュはこれだな。

指先の感覚を頼りに、私はその小さな耳垢の塊を端からカリカリと削っていく。


カリカリ、カリカリ、カリカリカリカリ……


「ぬぅ~ぅ、カリカリが……耳の中で響くんじゃ~」

「先生、大丈夫ですか?」

「ぬほぅ~、カリカリが堪らんの~、あとでタッキーラもサユリちゃんに耳堀りしてもらうとエエぞ」

「いえ、自分はけっこうです」

「そうか~、もったいないの~~ぉ」


耳の中で響くカリカリの音に身を委ねながらカラッシニ先生は身もだえる。

私は無言でその様子を視界の端に捉えながら、カリカリを繰り返して剥がれ欠けていた小さな耳垢の塊の根本に耳かきの先端を突っ込んだ。

差し込んだ匙の部分はテコとなり取れかけていた耳垢を一気に引きはがす。


バリッ!!


もちろん私には聞こえないが、カラッシニ先生の耳の中では盛大な破壊音が鳴り響いているだろう。もちろん同時に強烈な解放感を感じているはずだ。


「のぉ~~、バリッときたぞいっ!」


先生の枯れ木のような身体がビクッと動く。

ん? これはさすがにマズイな。


「カラッシニ先生。あんまり動くと危ないですよ」

「ぬひょ? サユリちゃん、集中モードが切れちゃったのぅ。でもサユリちゃんが耳堀り上手じゃからいけないんじゃよ~」

「下手にした方がいいですか?」

「それは困るのぉ〜」


普段から威厳のない先生の表情がさらにだらしなく緩む。


「それにしてもサユリちゃんの手管はスゴイの〜。もしもワシがもう50才若かったら結婚申し込んじゃうかもしれんわい」

「そ、そうですか……」

「こう見えても、ワシ若い頃はモテモテじゃったんよ」

「ソウデスカ」

「むぅ〜、サユリちゃん信じてないじゃろ。当時の聖女様も、隣国の女騎士団長も、大魔女もワシに求婚するくらいだったんじゃよ〜」


もう何度か聞いた邪竜退治の話をするカラッシニ先生。というか、この人ホントに勇者で、A級冒険者で、救国の英雄なのだ。

ぐぬぬ……異世界転生したわけでもないのにこのチートぶり。正直、羨ましい。

今にも歯ぎしりしそうな私。しかし相変わらず空気を読む気がないタッキーラは思い出したかのようにポツリと言った。


「しかし先生。50年前なら、先生はもう奥様と結婚していたのでは?」

「ぬほっ!?」


先生の顔が青ざめる。


「タッキーラ、今のは内緒ね?」

「あ、いや……別に奥様には言いませんが」

「そ、そう?」


いつもの飄々とした態度はどこへやら。完全に腰が引けている。英雄の奥様は美人で優しいがとってもやきもち焼きなのだ。


「とにかく、今度はタッキーラが耳掘りしてもらうとエエぞい」

「いえ、自分はけっこうです」


即答するタッキーラ。まぁ、そりゃそうだろうな。

耳かきポーション職人見習いの私と、救国の英雄である最強おじいちゃん、そして不愛想なイケメン助手。異世界転移して三カ月だが、こんな感じで私は何とか元気にやっている。


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