第4話 楽園と終着点
あまりに多すぎるループ数から、時間が超高速的に動いていった。感覚が超感覚的に麻痺していく。
身体は動いていても頭の中はただ茫然としているのである。
「目の前に移るのは、崩壊世界への景色、全くよくわからないが、朦々と出てきているこの世界を見ていると不思議な感覚に陥る」
目が曇っていく。今いる世界はいったいどういうことなのだろうか。粉々な世界で何を変えていけるのだろうか。全くわからないけど。私はずっと遠くの景色を見ていた。
私の目には数多の世界が移っていた。
先に進むビジョンを頭に想起する、そこに移っていたのは荒廃した残骸の惨状、普段事実を覆い隠されていたが、現実は非常なものだったのである。
数多の困難が私に降りかかる。底に沈んだ私にはある感情が芽生えた。絶対に殿下を振り向かすと。そうしなければならないのであると。
もう散々だ。すべてを投げうってでも手に入れる。
残骸の記憶を統合する。それしか方法はない。
「こんにちは、数百年後の世界からあなたに会いに来ました」
いかに崇高な志をしようと。結局は意味がないのかもしれない。全ては運命として決まっていたのだ。
」
やめるべきという言葉が頭に浮かんできても、やることは全てするしかない。
「ここに私は宣告します。楽園計画の遂行を、全てを浄化して儚く散らせます。」
次の瞬間空間は歪み強大な爆発が王城を包み込んだ。その瞬間私は思ったのだ、楽園計画が始まったと。
「殿下、あなたが私に問いをなす暇も与えませんわ。今回がだめなら次で決める」
流れる
流れる
時は流れて、終着点は私の理想へと近づく。
流れる
流れが加速する。
終着執着終着
「よろしくどうぞ、この世界の終着点楽園へ」
わたくしが目覚めたときその世界の光景は満面の花畑が広がっていた。この時感じたのが楽園計画の完遂、私は救われたのだ。と思っていた。
「ねえ、殿下、気分はどう」
「……」
「フフフ、壊れちゃったのね。そんなに戦慄した表情は中々見れない、つまりは殿下の意思と私は相反しているということだわね」
「……」
「残念だわ殿下、私はね、ずっとあなたを待ちわびていたの。何回も何回もループして、その中でやっとこの世界を手に入れた、それなのに答えてくれないなんてひどいじゃない」
「……」
「また、やり直しか……どこへ行くのか、結局殿下とは絶望の運命になってしまうのでしょうか」
でも止められない、殿下の寵愛を受けるのは私だけでよいのである。
「君だったのか、僕を呼んでくれていたのは」
「やっと気づいてくださったの?」
ここまでやったんだから、もう後はこの手しかない。
これは殿下に婚約破棄されるという運命を崩壊とループの感情爆発の能力を手に入れた公爵令嬢である私が変えて臨む殿下との生活を手に入れるための物語。
幾多の世界でもがき苦しみ崩壊を起こし、私は望む理想の殿下の姿を拝む未来を掴むのである。
あの頃に戻って私は全てを変えて見せる。
数多のパラレルワールドの中には、全てが正解ルートへたどり着く特異点がある。
無数にある世界で、ただ一つだけ、途切れることなく、どの世界とも違うルートを辿るのである。
ほんの一つの世界の断片が、時に全てのルートを照らすのである。
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