第2話 キルのおつかい

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 朝、目が覚めた時から喉の奥が妙に痛んで、体にも倦怠感があった。

 朝特有の気怠さだろうと、何とか思い込むようにして同居人のための朝食を作り、いつものように目覚めの悪い同居人を何とか起こして、朝食に付かせた。

 俺はというと、朝は食欲がないタイプの人間なのでいつも通りコーヒー片手に新聞を読んでいた。

 異変はそのころから強くなっていった。

 喉の痛みが無視できないぐらいに強くなり、体全体が重くなり、目の前がゆらゆらと揺れているような感覚があり新聞の文字が頭に入ってこない。

 目の前の同居人が食事を終える頃には寒気を感じ始めた。


 それは紛れもなく、風邪だった。



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 「……あ~」

 布団の上で喉の痛みにうなされる。

 原因は何だろうか。

 クラクラとする頭で何とか考えてみると原因は直ぐに思い付いた。

 

 一昨日、街道にたむろしている自称盗賊団の迷惑野郎ども討伐に出向いた。

 奴らが妙に大所帯だったせいかギルドの金払いがやけに良く、俺はそれを見逃さずに受けたわけだ。

 なんせこちらには天下のキル様――史上最悪の錬金術師エル・ハワードの遺産にして最高傑作であるキルがいるのだ、アウトロー気取りのはみ出し者どもごときに遅れを取ることなんて万が一にもあり得ない。

 実際、自称盗賊団自体はものの数秒で片付いた。

 大爆発。

 キルが奴らの根城に手を向けただけで大爆発が起こり、その辺のガラクタで作られていた奴らの根城はいとも容易く吹き飛んだ。

 問題だったのは、俺がその爆風に巻き込まれて川に落ちたこと。

 思えばあれで風邪を引いたのだろう。

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