100万回の異世界転生者は恋愛フラグを作り過ぎている

トナリ

序章 ひとりぼっちの魔王

とある国には膨大な魔力を生み出す男がいて、その男は大層モンスターから好かれたそうで人々はその男を忌み嫌い、『魔王』だなんて呼ぶようになったらしい。 そんな魔王は

ある一人の勇者の容赦ない斬撃の前に深手を負うのだけれど、見事勇者を返り討ちにしてそうだ。


けれど住処へ帰った魔王を待っていたのは『空白』だった。


『どちらの魔族のかたでしょうか』


『すみませんが、王などという存在は私どもにはありません』


『グラニーテ?そんな名前お聞きした事もございません。』


魔王軍の幹部も、側近ですら誰も自分を憶えてはいなかった。ドッキリなのではないのかとおもった。勇者ハカモリを返り討ちにし、魔族領域を守った自分へのサプライズ的なものなのではないかと思っていた。


『テッテレー。魔王様〜 おめでとうございますー!お護りくださりありがとうございまーす!ささ、お祝いの三つ星デスゴブリンシェフのきまぐれケーキでぇ〜す』

なんてセリフが実は後ろからして、胴上げされたのちパーティでもする前のフリなのかとすら思っていた。 だが、実際魔王を待っていたのは、愛する者ですら自分のことを忘れるという絶望的な現実だった。

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