Quarter
けーた
第1話
「クオーターだと。そんな名前誰がつけた。」
「下のものはみんな言っているよスウェル。まだ四分の一しか開発の進んでいない未完成品とかなんとかね。」
「あれはアレンのアダプテーションデバイス、アヌビスだ。そんな生半可な性能でいいわけがなかろう。」
「だが戦争をしているんだよ。自分の息子だけ贔屓しているとお前の命運も尽きるぞ。」グルズがタッチパネルを開きながら言った。
「グルズ、貴様の息子に与えるデバイスはまだか。もうすぐ17だろう。」
「あいつはまだ考えが幼い、私の古いものを使えばいいよ。」そしてタッチパネルでエリア22の学校近くの監視カメラを開いた。
「ロズロット・アルス様、グルズ・アルス副総督からの命令で迎えに上がった次第です。」
「どちら様かな、僕の迎えはキャンディスと決まっているんだけどね。」ロズロットは不敵な笑みを浮かべた。
「面白いじゃないか、だがここで消えてもらう!!」そう言って車から出た男は銃を懐から出した。途端にロズロットは体をかがめ右側に体を動かした。焦った男は弾を二発外し三発目を打つときはもう当たる気がしていなかった。
「お前に用はない!」そういってロズロットは用意していた銃を手に取り、一発頭にめがけて放った。
「どうしたグルズ、なぜ拍手をしている。」スウェル・レーンライトが振り返るとグルズ・アルスはすでに銃を構えていた。
「あなたの暗殺計画の文書と映像はすでにメディアに流している。悪かったな出来のいい息子がいて。」
「そうか、私からすべて取り上げようというつもりか。だが取り上げられるのは貴様も同じだ!」そう言ってスウェルはハッチへと走り出した。
「逃げても無駄だ、君のデバイスなど一世代前じゃないか。」
「だがしかしお前のデバイスも一世代前だ。」
「違うな、こっちにはクオーターがあるさ。」グルズはすぐにロズロットをエリア22からハッチ近くへ呼び戻した。
「クオーターはアレンのデバイスだ、それにまだ完成もしていない!」
「どうかな、もしアレン君のすべての認証データがこっちにあるとしたら。」
「貴様!!アレンをどうした!!」そう言いながらスウェルは一世代前のアダプテーションデバイス、オシリスに乗り込んだ。
「ハッチからスウェル・レーンライトへ、今すぐにオシリスを放棄しなさい。あなたにそのデバイスの保有権はありません。」
「黙れ!今すぐに――」
「ドンドンドン」大きな音とともに沈黙が訪れた。
「ロズロット・アルス、アヌビス。ただいま命令を遂行しました。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます