明日の夢で雨が降ったら

七々瀬霖雨

序章

世界の果て

「……うわあ」

 いつだったか。

 小さい頃、私は誰かと美しい星空を見たことを覚えている。漆黒の空に青く煌めく、圧倒的な銀河を。

「すごい、すごいねっ」

「気に入った?」

「うん!あたしの街じゃ、こんなにいっぱい見れないもん」

 星の色まで分かるほどの満天の星空なんて、都会にある私の街では到底見られない。おまけに地面まで塗りつぶしたように真っ黒で、一体どこで見たのかのかも思い出せない。あるのはただ頭上を覆う星空だけ。

 そんな中で、幼い私の手を、誰か……背の高い男の人が引いている。私はその人に懐いていたようだから、多分親戚の人か誰かなんだろうな。

「――くんは、何回もここに来てるの?」

「いや、あんまり来れないよ。ここに来るにはが必要だから」

「ふうん……これからはもう、きっと来れないんだね」

「そうだね……あやちゃんはもしかしたら――」

 ああ、夢が覚める。

 これ以上、覚えていない――


「忘れないで、綾ちゃん」


「ここは、”セカイノハテ”なんだ」

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