色んなお話の短編集!

華玥

とある元人間の天使の昔話 1

白羽の過去みたいなものです

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 昔から意見を言うこと、我慢することが得意だった。

同い年の子たちより大人びているとよくいわれた。昔はそれが嬉しかったけど、今ではそれが嫌になっている。


 私の住んでいる街は基本的に平和だった。住民全員が協力して一つの街を築いている。私はそう思った。そして私もこの街が大好きだった。私が、小さい頃に父親が行方不明になって母子家庭で育ったのに、苦労せず生活できているのは街の人たちがサポートしてくれているから。梨奈ともこの街出身で昔から仲がよかった。学校に行って、遊んで、勉強して、そんな毎日が楽しかった。そのまま大人になれると思っていた。


…あいつがくるまで、は。


 あいつは何人もの天使を引き連れてやってきた。右手の甲に変な紋章がある天使の男。最初は街の周りを囲んで追い詰めるように、最後…疲弊した大人たちは天使たちに敵わなかった。抵抗する大人は殺され、子供たちは一つの場所に集められた。

そこで天使と男は子供たちを"選別"した。使えないと判断された子供は家族の元に帰された。使えると判断された子供は…男の前に連れていかれた。私はなぜかその男に気に入られた。反抗的な目があいつにとって躾がいのあるやつだったんだって。気に入られてからのあいつの行動は早かった。男はニヤリと笑い…

「お前たちは本部の方で暮らしてもらう」

そう言った。私と梨奈に向かって。梨奈もあいつに対してなにかしたのか気に入られていた。

私は条件をつけてそれを了承した。条件は全部で3つ、これ以上街を破壊しないこと、街の人を傷つけないこと、私たちの生活は保障すること。6歳が言うようなことじゃないのはわかっている。でもそんな条件にしないと、この男を信用できなかった。


 それから太陽國の本部に連れていかれた。そこで、はじめて葉月に会った。最初の印象はとても物静かで人形みたいだと思った。

本部では梨奈、葉月、私で過ごすことが多くなっていった。しばらく一緒にいると葉月は何かを恐れているようだとわかった。それが何なのかこの時はわからなかったが葉月には安心して生きてほしいと思った。

男が私たちの元に来るのは一週間に2、3度くらい。そこでは私たちの話を聞いたり、能力について教えられたりした。私は、はやくここからでるために勉強も能力の訓練も必死でやった。


 でも、本部で生活するようになって2ヶ月くらい経った頃、男は私と梨奈を天使にした。どれだけ抵抗しても無理矢理、紋章を刻んで天使にされた。

天使の力は私の身体と上手く合わなかったのかしばらく体調が悪かった。天使となったことで新しく身に付いた能力と昔から持っていた能力。昔から持っていた能力の何個かは天使となったことで身体が耐えられなくなり消えた。能力の制御はさらに難しくなった。例えば、色んな人の心の声とか情報とかが勝手に頭に入ってくる。知りたくないことも知ってしまう。正直言って地獄だった。



…そして、一番知りたくなかったことは、あの男が私と血が繋がっているという事実だった。



 あいつがお母さんを捨ててまでやりたかったことなんて理解したくない。お母さんがどんなに泣いて、悲しんで、苦労したのかあいつにはわからないと思う。私は…あいつみたいになりたくない。だからあいつと間反対のことをする。あいつが自分の父であることを否定する。自分の気持ち、人生を全て我慢してでも。


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 一応、まだ続きがあるので書くかと思います。この男、白羽の母に昔瀕死のところを助けてもらって惚れたそうです。最初は天使ということを隠していたそうですが、子供が産まれて隠すことができなくなってしまい行方不明という形で太陽國に戻りました。本当は白羽と話したいと思っていますが白羽が毛嫌いしていて会わないようにしています。本来なら白羽は元から天使の血がはいっていたということになりますが…白羽の母についても少し事情があるようで、白羽は赤子のときから身体が弱かったです。今は病弱とかではないですが月一くらいで体調を崩しています。

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