第66話:時は今 皆がかつげる ヲタクかな

 


 1576年6月

 京都の南西入り口。山崎・天王山


 はい。


 光秀30歳、「今は戦の天王山」という言葉の発祥の地に立っております。

 どう見ても30歳の武将に見えない体形なのはラノベのお約束。ラノベのような人生送っています。

 さすが『サブカル教教祖』……シュン。



「殿。官兵衛殿到着」


 直轄騎兵中隊300騎で一緒にこの天王山まで光秀と到着した半兵衛っちが、真っ青な顔で報告に来た。


 そんなにブラックなことやっていると正史通り早死にしちゃうよ!

 でも言っても聞かないんだよね。

「殿が天下人になることがわたくしの、たった一つの思いにて」


 そりゃ「たった一つの思いつらぬく」のは「難しさのなかで」僕も、「守りぬいてみせたい」のだよね。「果たしたい約束」を。

 なんで君がそのアニメ知っている?


 でも光秀、人形じゃないよ。義体でもない。

 P90なら欲しいけど。

 お互いにあまり真剣に生き過ぎないようにしよ~



「殿。官兵衛、浅井久政殿配下の後方支援部隊を見てから参りました。石田殿ほか、官僚団が手際よく」


「ここに軍勢がつくのはいつごろか?」


「は。摂津までの170kmは3日で到着。その後、休息を入れ、船便で武装を陸揚げ。明日5日目の昼には山崎まで到達いたしまする」


 宇喜田とか邪魔だったけど、この腹黒田が内乱を鎮める策といっしょに、嫡男の秀家君にモデルガンやサバゲっぽいアイテムを送ったらことのほか喜んで。

 直家には「たぶん痔で悩んでるでしょ?」と痔の薬を送ったりしていたら、結構仲が良くなってしまい。


 毛利からの魔の手は一応おさえる事が出来た。

 そして大元の毛利を押さえる事が出来たので、山陽道は安全に。さらに瀬戸内海の水軍も味方について。

 輸送もスムーズに。



「配置についたぜ。光秀殿。配下の雑賀衆4000。いつでも戦闘可能だ」


 鈴木孫市。

 こいつ雇っちゃいましたよ。

 パートタイム従業員。

 でも高給取りでさ。1度の参陣で10000貫文要求してきたよ。


 ハケン社員の品格、っていう感じ?

 給料高いけど、超強力な戦力に!


 先にこの天王山にハケンしておいたよ。



「では今日一日が勝負か。敵の羽柴勢、配備はどうか」


「羽柴勢主力は、長浜城攻囲を解き、急ぎ勝竜寺城へ入りました。

 その数20000。

 明日になれば細川の6000が到着するかと」


「筒井は?」


「現在、洞ヶ峠付近で休息をとっております」


 細川君は秀吉の娘を嫡男にめとらせた。

 名前を玉というそうな。ガラシャかい。

 なんかもうぐちゃぐちゃだよ、歴史。


 筒井順慶は正史じゃ、最初から光秀の謀反には乗らなかったとかで。

 日和見の別名「洞ヶ峠」は、後世の汚名です。


 でも今度はどっちへつく?

 一度筒井城を追い出されて、島左近とかこっちへ来ちゃったからね。大名に復帰する手伝いをしたのが俺だし。

 いくら詩歌管弦で秀吉と親友になったからと言ってもね。迷うよ。


「ご安心ください。筒井には草を忍ばせております故、羽柴につくことを大反対するものが多く」


 官兵衛の謀略、恐るべし。

 これ、きっと俺が天下を取るところまでは誠心誠意なんでしょね。

 で、自分が危なくなるか、光秀いなくなると「自分が天下を!」となるのがこいつです。


 なにか、もっと好きなものを与えないと危険人物ですよ。

 サブカル大主教猊下にでもするか?

 名前を『締音シメオン未来』とか洗礼名にしてさ。どう考えても如水という人物じゃない。諦めて音をあげて。未来永劫。



「殿。羽柴勢動き出しました。先鋒は山中幸盛の2500」


 鹿介しかのすけかぁ。

 陰々滅滅の武将は嫌いです。

 ドMだからなぁ。

「我に七難八苦を与えたまえ」とか、どんなヘンタイだよ。

 あっち行って、しっしっ!


 東の敵左翼は、蜂須賀勢2000。

 西の右翼は、溝尾庄兵衛の2000。

 中軍二の陣は、羽柴秀長の4000。

 本隊は約9000か。


 秀長の陣に鉄砲隊を集中させている。

 ドM武将、山中君は鉄砲玉?

 こっちの出方を探るための超巨大強行偵察隊?


「殿。敵先鋒は西国街道を南へ降り、午後のうちにこの天王山を包囲攻撃をするものかと」


 その対策はどうすればいい?

 もう内心がばれちゃったから聞いてみよう!


「その対策は?」


「現在、この天王山にいる味方戦力。

 司令部要員を含めて指揮中隊300。

 雑賀衆4000。鉄砲は5000とのこと。

 それから……」


「あれは使えるのか? 間に合ったのか?」


「はい。間に合いました」


 自分でこそあど言葉を使っているけど、もうツーカーです。

 みんなと仲良くなった気がして、光秀うれしいよ。


「稲富祐直どの。お手柄であった。

 この戦、あの大砲がなければ負けは決まったも同然であった」


 稲富さんに大砲のうち、軽い奴だけ大至急こっちへ持ってきてもらったよ。

 長砲身砲はとてもじゃないからあきらめた。

 かわりに臼砲と巨大ラッパ銃。

 これを持ってきてもらいました。


 臼砲は『榴散弾』を敵上空で破裂させるため。

 ラッパ銃は近接戦時に、1発で数人は負傷させられるかな?


 あとね。

 新兵器たくさん作ったよ。

 冬木の奴が暴走した。



「敵、配置についた模様。ほら貝がなります!」


 ぶほ~~~~!

 ぶほ~~~~!!

 ぶほ~~~~!!!!


 なんとも戦国時代ですね。

 でもこっちはこれから近代火力戦だよ。


 さて、冬木芸術。

 見せてもらおうか!


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