第39話:ぱすた屋とみるくほおる(第7章終わり~♪)

 

 来た!

 遂に来たぞ!!


 念願の、ト・マ・ト!

 マニラガレオンという太平洋を周回している貿易船にちょっと注文出していたんだよ。


 中南米のトメィトゥの種を持ってきて! と。

 これでピザが出来る!


 と、思っていた時期が俺にもありましたよ。


 でもトマトって種まいて簡単に生育するもんじゃないんです。

 購入して初めて気づいた。


 たしかどっかのWeb小説でも書かれていたよね。

 接ぎ木しないと枯れちゃうと。


 お百姓さんスキルは流石の俺にもなない。

 接ぎ木のテストをしていただいております。


 1秒でも令和の時代へ近づけるんだ!

 あ、普通に1秒ごとに令和に近づいてるって?

 こりゃ一本取られました。




「光秀様。こんな感じになりましたが、ご賞味くださいませ」


 専属料理人が、新作のテーブルに座っている俺の前に皿を置く。

 匂いはいいな。

 でも味は?


「もう一味足りない。油か? オリーブオイルを手配する。それを使って見よ」


 目の前の皿に盛りつけられているもの。


 ぱ~すた~~~ぁ


 いわゆるスパゲッティね。

 トマトがないのでスープスパにしました。

 京都で入手できる魚介類は足が速い(くさりやすい)ので、朝一で大阪湾でとれた魚貝を淀川経由で急いで持ってくる。

 結構な出費だ。


 ニンニクは行者ニンニク。

 唐辛子は干した奴をマニガレから購入。

 スパイスもマニガレ経由。


 高い!


 同じ重さの銀を要求してきやがったよ、ポルトガル人ども!

 なのでこっちも「真珠はどのくらいで買ってもらえるか?」と持ち掛けた。


 目の玉3回転くらいしていたっけ。

 ヨーロッパではね、真珠の養殖なんかできない。

 はるか遠くのインド洋から超希少な天然ものを取り寄せなけりゃなんない。ほぼ王侯貴族しか、それも大富豪の連中しか手に入れられないの。


 しかも粒がそろっていない。

 それの粒がそろったやつを、ずらっと目の前に並べてやったんだよ。


 はい。

 1粒300mどころか、金貨300枚以上の値が付きました~


 最初は足元見やがって、1粒銀貨で10枚とか超値切って来たけど、ポーカーで相手の手札知っているような商談ですから、光秀、大勝利です。


 おかげで次のマニラガレオンで大量の南米産食材を入手できることに。


 なんでこんなことやってるって?

 いつものごとく趣味だろ? とか、失礼な!

 ちゃんと文化侵略的な目標があるんだ。



 もうわかったって?

 いぇ~す。

 文化を流行らせれば、それに必要なものを売る商人はもうかるよね?

 特に、『手に入り辛いもの』。この場合はトウガラシとかコショウ。

 デュラムセモリナ小麦栽培も俺の、ゲフン、織田家の収入となる。


 他にも皿の需要もできるし、製粉業も盛んに。

 そこら中に水車作れば、その技術で一気に産業革命の下地が作れる。



 あれだね。

 ピアノのヤ〇ハのビジネスモデル。

 ピアノ売るためにピアノ教室とか、音楽祭やっちゃう。


 表の商売は、あくまで目的は、金儲けの一部。

 大元を握っちゃうんです。

 その大元締めに、俺はなるっ!



 ◇ ◇ ◇ ◇



「光秀様。いかがでございましょう」

「これはいいな」


 パスタ屋さんのとなりに『みるくほうる』作りました。


 やっぱ最初は流行りません。


「けものクサイ」だの

「飲むと牛になる」とか言う奴。


 俺が牛になっているかよ?

 学校給食じゃ残りの牛乳、あらゆる手を使って入手。がぶ飲みしていた。

 ま、まあ、腹回りは牛さんになっていたが、これはプータロー始めてからだ。牛乳のせいじゃない。酒と運動不足が原因。


 信ちゃんが滞在しているうちに、たくさん飲んでもらおう。

 砂糖入れて甘くすれば結構おいしいぞ。

 信ちゃんも気にいるはず。



「くれぐれも食中毒は出さぬように」

「はい」


 加熱殺菌おこたると大変。

 サルモネラ菌とか一気に増殖して食中毒に。

 でもあまり高温で殺菌すると、まっず~い牛乳に。

 低温殺菌はムズイ。


 だから出来るだけしぼりたてを飲んでもらう。

 さいわい時代錯誤的だけど、お公家さん達は昔の栄光をとばかりに牛車使い始めるから、その牛さんに牛乳を提供してもらっている。



 ◇ ◇ ◇ ◇



 さて、次は『酒場』だ!


「お、これはいい感じではないか?」


「ありがとうございます!」


 小さいタルみたいなジョッキに泡立つ液体。

 エール!

 炭酸水が人工的に製造が不可能だからね。

 せめてエールでピザ食いたい。


 尾張の頃から試験的に作っていた。

 これ、京都で流行らせよう。

 特に今後暑くなるから、シュワワワ~感は気に入るに違いない。


 ショウガ入れたり果実入れたりすれば、日本人の好みに合ったものが出来るかも。


 ここではじめは焼き魚。

 次にくん製。

 そしてハムやソーセージを提供する。


 最後にはビヤホール作るんだ。


 よし。

 これで『俺の行ける』ビヤホールが出来上がるぞ。


 光秀ね。

 出不精で人見知り、コミュ障だったから、ビヤホール行ったことないの。だから戦国時代で自分の行けるビヤホール作ります。


 え?

 結局、自分の趣味だって。

 そうとも言うね。

 でもそれで織田家が(ついでに俺も)儲かり、戦略目標が達成できれば万々歳じゃないのよ?



 そう自分に言い聞かせつつ、遂に京都での任務を達成した光秀。


 次なる任務は、過酷な戦場となる!

 布団の波間に見える敵艦を沈めて、何としても寧々ちゃんに赤ちゃんを抱かせてあげるんだ!


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