第25話:電撃少女も欲しいぞ
突然、飛び込んできた村人らしき人が黒古に叫ぶ。
「わかりましたわ。直ぐ準備いたしますの」
「ついて行ってもいいか?」
「あなた、ここであの子の看病をするよりも大事な仕事を抱えているようですわね。きっと信長様に仕事しないと首刎ねられるのね」
よくお分かりで。
あいにくと、テレポーテーションは出来ないようだ。
蒲生家の城門を潜れるチャンスがこんな形で回って来るとは思いもみなかったよ。
アゲハの看病は村のおばちゃんに任せた。
心配だが待っていろ。こいつの腕は確かとみた。
どうせ俺がここにいても無駄。
だったらお前が目を覚ました時に「もう、仕事終わっちゃったよ~ん」と言って笑わせてやる。いつものアゲハスマイルを見せてくれな。
黒古をお姫様抱っこして蒲生の日野城へ向かう。
背負うつもりだったが、抱っこをリクエストしてきやがったよ。
どうもこいつは苦手。
光秀、苦手が出来ちゃいました。
◇ ◇ ◇ ◇
「いかがでござる。白川殿。息子は助かるであろうか?」
和田の殿さまをすっ飛ばして蒲生さんちの南近江(滋賀県南部)日野城に来ています。この娘、どうやらこの辺りで薬草摘みながら医者をしているらしい。
蒲生賢秀という結構しぶとい有能な武将がオロオロする姿、頂きました~
アゲハの危機に、オロオロした俺も人のことは言えないけどね。
「大丈夫なのですわ。この私の針にかかればどのような病・傷も完治しますのよ。息があればですけど。あたし失敗しないので♪」
テンプレのセリフを言いつつ、普通の鍼灸師の使うような針ではない、太っとい針をそこら中に刺していく。アゲハの時よりもましだけど気色悪いです。
◇ ◇ ◇ ◇
「もう大丈夫ですの。10日もすれば歩けるはずですわ。川魚はきちんと火を通して食べるものですわよ」
どうやらこの少年。
遊びで魚を生で食べて食あたりを起こし、更に階段から落ちて頭を打って足の骨折って、ついでに鼻血で出血多量、急患となったらしい。おバカですねぇ。
「何とお礼を言ってよいやら。この鶴千代、齢12と幼いが武勇知略ともに目を見張る才能があるとみております。蒲生の家にはなくてはならぬ跡取り」
蒲生の跡取り?
誰だっけ?
!
もしかしてSSR武将の。
が・も・う・う・じ・さ・と?
SSRの命救いました~、って、俺じゃないけどね。
「あたしだけでは無理でしたの。ここまで高速機動……げふん。早く到着できたのはこの方のお蔭。遅れれば命はなかったわね」
蒲生賢秀さん。
俺の方を向き、改めて礼を取って来たよ。
「
え?
いいの?
言質、取った感じ?
では!
「それは今、お願いしてもよろしいか?」
「なんなりと」
「某、織田上総介信長が家臣。明智十兵衛光秀と申す。是非とも、蒲生殿のお力を借りたく参上仕りました」
頭を下げると同時に、黒古の顔を横目で見て、GJというアイサインを送る。
黒古はウインクしながら、小さくサムズアップ。
とりあえず蒲生へのアプローチは出来た。
なんか変な奴にもアプローチしてしまったけど。
その内、御坂とかいうSSR武将を紹介してくれないかな。大歓迎で家臣、いやお友達にならせてほしい。
きっと素晴らしい電撃戦を見せてくれるだろうね。期待しているよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます