落ちこぼれ美少女エルフの精霊魔法剣
INC
第1話 聖剣
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私、セリーナ・ルーデルフは、冒険者養成学校はじまって以来の落ちこぼれである。
私は、青い髪をした人間とエルフのハーフである。
剣の才能もないし、魔法の才能もない。
剣と魔法、両方の成績で学年最下位である。
今日も、水魔法の授業では、失敗した。
大きな球状の水の塊を生み出したがいいが、発射できずに炸裂させて、水浸しになった。
生徒たちからは、大笑いされた。
私は授業が終わると、森の中で泣いていた。
「どうして私はこうなんだろう」
私はボソリと呟く。
私は、大好きなお姉ちゃんのように、強くて立派な冒険者になりたかった。
そして、お姉ちゃんのように、困ってる人たちや弱い人たちを守りたかった。
女性や子供、善意の人々。
お姉ちゃんはいつも寝る前に、冒険について教えてくれた。
私はいつも、ワクワクしながら聞いていてた。
その冒険譚に憧れて、私も冒険者を目指したのだ。
そして、冒険者養成学校に入った。
でも、結果は散々だった。
「もう冒険者、辞めちゃおうかな。」
再び私は呟く。
嘘、本当は絶対冒険者になりたい。
でも、どうしたらなれるのかわからない。強くなれるのかわからない。
私はお姉ちゃんにもらったペンダントを握りしめた。
「お願い、お姉ちゃん。どうすれば強くなれるか、私に教えて。
私を助けて。」
「その願い、叶えてあげましょう」
「えっ?」
どこからか声が聞こえてきた。
ピカーッ
急に目の前が光輝き、空中に剣が出現する。
その剣が、地面に突き刺さる。
そして、美しい女神のような女性が現れた。
「な、何?」
「目の前に剣が見えるでしょう。
それが私です。
私は聖剣の精霊、剣精霊。」
「そ、そうなの。
それで、どうしてここへ?」
私は、戸惑いながらも剣に聞いた。
「さっきも言った通り、あなたの願いを叶えるためよ。
人々を救う強い冒険者になりたいのでしょう?」
「それは、そうだけど、どうして私に?」
「 まず第1に、あなたにはその資格があるの。」
「資格?」
女神はうなずいた。
「あなたは、精霊と会話する事ができる。今私と会話できる事がその証拠よ。
そしてもう1つは、あなたは、光属性と、闇属性の、両方の精霊魔法を使える素質を持っている。」
「えっ?」
私は驚いた。
精霊魔法とは、その名の通り精霊と契約する事により使える魔法である。
精霊の力をかりて使うため、様々な特殊な魔法が使えるが、精霊に魔力を分け与えなければいけないため魔力の消耗が激しいとされている。
だが、基本、精霊魔法を使えるのは、上位の魔法使いだけだ。
「でも、私は、落ちこぼれの魔法使い。」
「精霊と契約できるのが、必ずしも強い冒険者でなければならないとは限らないわ。
強い意思や心、信念なども問われるの。
それにあなたには、可能性がある。」
剣精霊の女性は言った。
「通常の魔法ですら人並み以下にしか使えない私が、とても精霊使いの素質を、しかも光と闇両属性の魔法を使えるとは思えないけど。」
「それは、まだあなたの持っている魔力が微弱すぎて、それぞれの精霊魔法をまだ発現する事ができないから。
けれどもその魔力容量は、経験と訓練によって増やす事ができる。
そうすれば、次第に様々な精霊魔法を使えるようになれるわ。」
「でもー」
それでも私は、信じきれなかった。
この剣精霊を、自分を。
「 今は、あなた自身の力では、とても精霊魔法を発現することなど難しいでしょう。
せいぜい微弱な精霊魔力を感知したり、今のように私のような精霊と会話したりする程度。
でも、安心して。
剣精霊である私と契約すれば、微弱な魔力でも、多少は様々な精霊魔法を使えるようになれるわ。
今はまだ、たいした効果や威力しかないでしょうけど、今はそれで充分。
そうして、次第に自分の能力を伸ばしていけばいいのよ。」
「どうしてそこまでしてくれるの?」
「それは、1つは、あなたの人々を救いたいという意思と、強い冒険者になりたいという願いを叶えるため。
そしてもう1つは、この世界にはじめて出現する、人類最初の魔王勇者を倒すためでもあるわ。」
「魔王勇者?」
「そう、魔王勇者。魔王勇者とは、つまり、魔王が輪廻転生し、勇者の姿形と性質、能力を兼ね備えて生まれ変わった姿。」
「 魔王の力を持った勇者?」
「そうです。」
「魔王勇者は、勇者の持つ光属性と、魔王の持つ闇属性の、両方の性質を兼ね備える最強の戦士であり魔物。
そして彼は、光と闇、両方の属性の精霊魔法や能力を自在に使いこなす事ができる。
魔王勇者を倒すことは、どんな光属性を持つ聖騎士や聖女も、どんな闇属性を持つダークナイトや魔物にもできない。
彼を倒せるのは、光と闇、両方の精霊属性を持つ者にしか無理なのよ。」
「な?」
私は絶句した。今の言葉には、私は今までで1番驚いた。
この精霊はいったい何を言っているのだろう。
普通の冒険者にすらなれるかどうかすら解らない私に、世界を救えなど、しかも魔王勇者を倒せなど、この女性はどうかしてる。
「そんな事、私にできるわけありません!!」
「そう、確かに難しいかもしれないわ。
でも大切なのは強い意思と願いなの。
最初は小さな火でも、炊き木を燃やせば
凄まじいほどの炎を燃やす事ができる。」
「そんな事言われても。」
「それに、もう時間がないの。」
「どういう事?」
「魔王勇者は、輪廻転生してすでにこの世界のどこかにいる。
今はまだ、勇者にも魔王にも覚醒してませんが、いずれ時間の問題でしょう。
そして、もし魔王勇者が覚醒すれば、彼は真っ先にこの私を、つまり、この聖剣を手に入れようとするはず。
それを阻止するためにも、一刻も速く契約者が必要なのよ。
それから、この世界にいる彼の配下たちも、主が蘇るその日のために、私の事を狙ってくるでしょう。」
「 誰か、ほかの人を探せばいいんじゃない?」
「それは、無理だわ。
光属性と闇属性を持つ人間は通常数百万人に1人程度、とても見つけられない。
しかもそのほとんどが覚醒してなく、感情が高ぶったとき時折精霊思念を放出して発見できる程度なの。」
私は沈黙した。
どうすればいいの?
私はかなり迷っている。
魔王勇者やその配下と戦うとなれば、私はかなり高い確率で死ぬだろう。
そして、私が契約して負ければ、世界は滅びる。
とんでもなく責任重大な任務だ。
けれども契約しなければ、やはり世界は滅びる。
どう転んでも、いや、何もしないで契約しないことが、1番最悪なのだ。
お姉ちゃんならこんな時どうするだろうか?
私の中では、本心ではどうしなければならないのか答えは決まっていた。
けれども、あと一歩を踏み出す勇気が出ない。
そう、私は決して、冒険者ではないのだ。
「 私も、残酷なことをしているとはわかっているわ。でも、もうこれ以外に方法はないのよ。
それに、あなたには適正がある。
今からその証拠を見せるわ。」
そう言って、女性は消えると、聖剣が岩山から抜けて、こっちへとんで来た。
「いやっ!!」
剣が私に突き刺さったと思った瞬間、その剣は光の粒子に変わり、私の中へと溶け込んでいく。
「聖剣があなたを貫けなかったのは、あなたが本心では私を受け入れているからよ。
そして、聖剣を持つ適正と権利を持っている証拠でもある。
今は私を信じられないでしょうが、いずれは解る日が来るでしょう。
そして、私を欲して私に助けを求めるはず。
それまで私は、あなたの中で生きて、あなたとともに行動させてもらうわ。」
「そんな勝手に決めないで?!」
その後、聖剣からは返事はなかったら。
いくら待っても聖剣は姿を現さないので、私は寮の宿舎に帰った。
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