第17話 勇者のカレー
🖼 勇者のカレー
王都に、カナデの気配がある、これはミキのところか? 「隠密」で近くまで寄ってみれば、ミキの店の中から二人の笑い声が聞こえる。・・・よかったな。
どうしよう、邪魔するか?
「こんにちわ」 直ぐに返事がきたよ、「どうぞ〜」って、なので中に入る、
部屋の隅にカナデもいるが、姿を隠してはいない。
カナデにも、「やあ」って挨拶してみるが、「・・・」相変わらずな奴だよ。
まあ、放置して、ミキに、カレーって知ってるか?聞いたら、そりゃ知ってるけど、なぜ?それを僕が言うのか?って顔してるので、ある縁で、手に入れたんだけど、って言ったら、即、「下さい!」ってえっ?そんなものなの?
よくよく話を聞けば、昔、召喚されてきた後、この世界でも、どこかで食べたけど、なかなか情報が無かったから、忘れていたそうだ。
でも、あるなら欲しいって言うので、「複製」して、とりあえず2個、カレールーなるものを渡した。「中辛かぁ、甘口は無いのか?」って言われてもな、僕もわからないよ。「でも、良いか・・、蜂蜜入れれば、なんとか・・」なんて言っているので、良かったのかな?
僕もまだ食べたコト無い、っていったら、じゃあ、今からチョチョイって作ってやるからみんなで食べよう、ということになって、食材は? 「人参、玉ねぎ、じゃがいも、オーク肉」って言うので、「収納」から出してみたら、何で?持っている?なんていうので、いま、家で栽培して作っているって言っておいた。
まあ、そんな感じで準備が始まったんだけど、今まで黙っていたカナデも、野菜を切ったりして手伝って二人で料理を始めたよ。なんだ?仲いいじゃん。
オーク肉と野菜を軽く炒めて、水を入れて煮込んで、カレールーを入れて溶かして、出来上がり。 エッ、簡単? 僕でも出来そうだよ。
それで、ルーを入れてからが良い匂いなんだな、美味そう。
初めてなら? って皿にまず少し盛ってくれたので、口に運ぶ。うん、美味い! 美味い!
って、直ぐに食べ終わって、おかわりしてしまった。二人も、美味しいね、って嬉しそうに食べているよ。カレーを出してみてよかった。
それで、何で野菜を栽培したりカレーを持っているんだ?って二人からしつこく聞かれるので、家を買ったこと、ある事情で手に入れたマジックバッグに、このカレーが入っていたこと、を話したら、「何だ?その偶然?」って呆れていたけど、まあ、普通だよ。
カナデが、「私の知らないうちに・・・」なんて言うから、「結界を張ってあるから、入れないよ」って言っておいたよ。
ミキさんまでも、「ちょっと・・行ってみたいかも?」 えっ、?そうなの?
なら、しょうがないなぁ、ちょっとだけなら、行って見る?って言えば、即「行く!行く!」って、ということで、3人で手を繋いで、転移指輪で「転移」。
一瞬で、シズカ別荘の玄関前に移動してきた。
「ようこそ、ここだよ」って、山に囲まれた屋敷を眺めている2人に言って、玄関をくぐる。僕と一緒だからね、入れるよ。
何?ここ?すごい!凄い!って2人で、家の中を走り回っているよ、あんたら何歳だっけ?
カエデは、トイレや風呂や台所を見ているし、ミキは、裏庭に行って、畑や果樹園を見ている。2人とも戻ってきたので、食堂で、スイカとメロンにイチゴを出してあげた。
見てわかるけど、もう、顔がめちゃ喜んでいるな。
これらも、畑で収穫したものなんだ、って言ってやったら、何だその、優雅な一人暮らしは?って、ちょっと怒られた? でも、ちゃんと屋敷も、購入したんだからね。
カナデが2階から下りてきて、ここの場所に見当がついたのか、
「何だ、墓場のところ? オルコット領の近くじゃん」。
「そうだよ」ってね。
果物も全部! 食べ終わって、帰るときに、ミキさんが、「ここって、何か懐かしい気配がある、転生者か?」なんて言っていたが無視して、「転移」して王都のミキさんの店まで、カナデも一緒に送っていった。
さて、シズカ別荘まで、「飛行」で帰ってみよう。勇者のスキルって凄いな。
「隠密」して、「浮上」、オリバー王都を見渡せるほどの上空、もう少し上がってみれば、何と、僕のシズカ別荘が小さく見えるよ。近いんだな。そりゃそうか、この前、王都からオルコットまで、馬で疾走したっけ・・・
王都西門から出る感じで幾つかの貴族領と鉱山?を過ぎれば、この辺は山岳地帯で未開地だね、その中に、綺麗な草地が見えてきた、これ、僕が作った元墓場の緑地化したものだね、そしてもうすぐそこは、僕のシズカ別荘、到着。
連絡箱から通知がきていたので、寄ってみれば手紙、ガントさんからだ。
屋敷に入って、シャワーを浴びて、居間で手紙を読んでいる。
何のことはないよ、顔を出してくれってそれだけ。
まだ夕方まで時間もあるし今から行ってこよう。ギルドの裏側に移動して表に回り込んで、入り口から中にはいる。
先日、屋敷の購入時に世話になった担当者がいたので手を振っておく。
受付で、ガントさんを呼んでもらって、部屋に来い、っていうので、そのままギルド長の部屋へ。
どうだ?屋敷は?なんて言ってくるので、最高に良いですよ〜、ありがとう、って伝えておいた。
それで、用件は、王都での薬草地の土壌改良の話しが、もう、伝わっていたようで、こちらでも、そういう場所が欲しい、っていう話しで、つまり、僕にやって欲しい、と。
まあ、良いけどね? で、どこに?作るの? 「墓場の跡地なんかどうだ?」って言う。
確かに、あそこなら、山の湧き水もあって植物の成長は良いはずだけどね、あそこ、ギルドの土地なの? 「イヤ、領の土地だが、使用許可は既に貰ってある」って、そういうことか、用意周到で、・・・
しかも、薬草の種や苗は用意してあるっていうから、もう急げってことだろ?
じゃあ、ササッとやってしまおうかな、種、苗の入ったギルドのマジックバッグから、僕の「腕輪収納」に種、苗を移動させて、ギルドを出た。
「隠密」、「飛行」で移動、現地上空で「浮遊」しながら、適当に種をバラ撒く、苗も適当に上から落とすだけ、まあ、なんとかなるよ、きっと。
ほぼ全面にまき終わったあとで、一応、「解呪」、「浄化」をかけて、範囲指定して、「土壌改良」、そして雨を降らせる。さあ次は、「促成栽培」をかけまくる、苗がピンと起きてきて、種が発芽してグングンと大きくなっていく。
周りの雑草も伸びてきているが、そこはまあ、愛嬌、ということで、探す楽しみも与えないとね・・・ 依頼完了。
念の為と思って、全部、「隠密」状態で行っていたので、僕が直接やったとの証拠は無いよな、それにもし変に疑われたなら、預かった種や苗は全部「複製」してあるから、返して、僕は何も・・って言ってしまえば、それだけだしね。
でも、明日にでも、ガントさんには、それとなく釘をさしておこうかな。
翌日ギルドに顔を出したら、ガントさんに呼ばれて部屋へ。
「昨日、さっそくやってくれたんだな、ありがとう」って、金貨10枚貰った。安いんだな。まあ、良いけどね。
それで、どうやって?とか、いつ?とか聞いてくるので、まあ、そこは「秘密で」とお願いしておいた。もし、僕の秘密がバレるようなら、みんなの記憶を消して回りますから、って伝えておいたよ。
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