第15話 魔女屋敷 

🖼 魔女屋敷 


「転移」してオルコットのギルドに寄る。

ガントさんを呼び出して相談。どこか?借家か売家ないかな〜


やっぱ、どこか拠点があったほうが良いかな、落ち着ける場所があったほうが良い気がする。一人でボーっとしてたいよ。

ギルドの管轄しているところでは、ここの周辺の領外に数カ所あるらしい。

担当者が図面を持ってきて、説明してくれる。

場所や周りの環境をメインで考える、交通手段はまあ無視でも良い。

条件にあう借家は無し。売家で2箇所。共にここより北西方向、まあ元墓場の北と、そこよりやや東の街道近くの場所。


そこへガントさんもやってきて、

「墓場のそばにお前が居てくれるなら、墓場もいつまでも清らかでいられそうだな」

って、この人は何を言い出すやら・・・

とりあえず現地を見せてもらえることになった、担当者が馬車を移動して回してくれたので乗り込む、なぜ?あんたまで? ギルド長のガントさんまで乗り込んできたよ。あんたは自分の仕事をしてれば〜・・・


領の西門を出て墓場方面へ、確かに最初の場所は領から近いけど元墓場も近いな、次は、元墓場を回り込んで、さらに山に向かった所、何と、ここには大きめな屋敷が立っている。

話では、ここはもう、オリバー王国の最北、後ろの山岳地帯が国境になっているそうだ。


あの屋敷は? まだ、使えるはずです。昔、勇者一行の魔道士だった魔女が、100年くらい前まで住んでいた、今は亡くなって無人、屋敷には「結界」と「状態保持」の魔法がかかったままで、建物などの劣化は無し、僻地なことと、結界のせいで、買い手はほとんど無し、亡き魔道士が出した条件では、結界を無事に解けるものだけに売り渡す、・・と。

しかも、売り渡し価格は金貨1000枚。その者には屋敷内の物の所有権をすべて譲渡する、っていうものらしい。

即決したよ。

結界を通れば良いんだよね、別に壊さなくても、そんなたいした結界なら、有効利用したいし。


なので、敷地の入り口のドアに手を触れて魔力を流す、確かに!普通の魔力でははじかれる、魔力をさらに多めに流せば、ロックがカシャって音をたてて外れたよ。 成功。

これで、購入条件は満たしたよね?

担当者が、「おめでとうございます、条件は満たされました」ので、戻って手続きを、って言うので、屋敷のドアをロックして馬車に乗り込んでギルドへ向かう。

ガントさんの部屋で書類の受け渡しが行われて、代金、金貨1000枚を支払って契約完了。一応、鍵があるらしく貰ったが、まあ無意味だね。

ちなみに、上下水道完備らしく水道料金がかかるのだが、それは無料ということらしい。何でも、件の魔女様が、ここも含めて領内の上下水道を整備・網羅するときに、大いなる貢献をしたのがその理由で、これも、この屋敷を譲渡する場合の条件に入っているようだ。


何はさておき我が屋敷へ行こう、ギルドの裏に回って、「隠密」、カナデの気配も無し、なので「転移」。

改めて見るけど、良いね。

場所も、僻地で山の麓、静かだ。

今は、遠く目の前に見える場所が墓地で汚れてたなんて思えない綺麗な草原になっている。今度、少し、樹木でも植えてしまおう。


領道から少し入ったところに屋敷門があって、当然、魔法鍵がかかっている。

既に、さきほど下見の時に上書きしているので、僕はそのまま通れる。中に入ってしまえば、また自動的に鍵がかかるしくみだ。

これが、結界と一体化しているんだから、前の魔女様は凄いな。

二階建て、二階は寝室3、南側バルコニー付き、

一階は、居間、書斎、玄関ポーチ、食堂、台所、寝室、応接室、トイレ2、風呂、シャワー

こんな構造、間取り。

僕は、一階の寝室を使おう、特に増設する必要も無いな。


結界の効果だろう、建物自体もそうだけど、各部屋の感じも、100年放置されていたなんてまるで思えない。空気も清浄。

屋敷の外、4隅に魔道具が置いてあるよ、これで、結界と空気清浄を維持している。しかも、その魔道具、魔道具自体に、空気中から魔力を自動的に補填するようにできている。


さて、まずは、書斎から、棚には魔導書が並んでいるよ、しかもかなりな古書だ。

それと、ほぼ、何か?有るとは、予想はしていたけど、本棚の最下段にはマジックバッグが4個並んでいる。


*黄色マジックバッグ、容量無限、時間停止、

・オリバー金貨、5000枚、


そうだろうと思ったんだ、だって、僻地で100年買い手無しの物件に、金貨1000枚って高いよね、しかも結界を解くとか厳しい条件、なら、購入者というか購入できた者には、何か?特典?みたいなものが有るのでは?って期待していたんだ。

これで、この屋敷は、タダになったよ、しかも、余剰資金まで増えた。


*赤色マジックバッグ、容量無限、時間停止

・これは、魔女様の日記や、記録、魔導書や、私物、

 恐らく、死期を悟って、詰め込んだものかな?

 少し、日記を開いてみた、魔女様の名前は、 


▶森静香 もりしずか さん

・転生者だよ。300年前に召喚された勇者一行の魔術師。



*青色マジックバッグ、容量無限、時間停止

・勇者一行の武器や防具など3セット、それに、魔道具がいろいろ、

・静香さんも錬金出来たのかな?完成品がほとんどだけど、試作もある

・気配が気になる大きな魔石が数個入っている。

 これ、静香さんの魔力だね、 

 持っているだけで、いろいろ、魔法やスキルの明細が流れてくる。

 そうか?こういう伝達方法?もあるんだな。ちなみにこれ、竜の魔石だ。

 「魔法創造」なんていう面白そうなのがあったので、即、「複製」



*緑色マジックバッグ、容量無限、時間停止

 何と、植物の種、果樹・樹木の苗、がいろいろ入っているよ、

 複製して、これ使おうなか、家の裏に、畑らしきものがあるからね、   

 あと、樹木は墓地跡地に植えても良いな。

 跡地の北側に並べて植えれば、この別荘への目隠しにもなるかな?


とりあえず、全部そのまま、僕の「収納」に回収しておく。まず、絶対に盗まれたりすることは無いと思うけどね。念のため! 


そうだ、屋敷の門のところに、連絡箱と呼び鈴を作って取り付けておこう、今は誰が来ても入れないからな。

「御用の方は、呼び鈴を、手紙は、連絡箱に」って書いておこう。

それと、ここは「シズカ別荘」と名付ける。

呼び鈴と連絡箱には、「状態維持」魔法をかけておく、状態に異常があれば気配で解るから。


*シズカ別荘 「御用の方は、呼び鈴を、手紙は、連絡箱に」 


早速、裏庭に出る。裏は全部山の向こうまで、この屋敷の所有なんだけどね・・

まずは、50m四方くらいの範囲を指定して、「解呪」、「浄化」しておいて、その中の10m四方くらいのところを、低い「土壁」で囲んで、中を、「土壌改良」して、水なんだけど、複製したばかりの「魔法創造」で、一面に水を撒くイメージで、「水撒」を作成した。

この「水撒」で水を撒いて種を植える、スイカ、メロン、イチゴ、なんてのを一列ずつ撒いてみた。名前も知らないものもあるが、まあ、畑の果物っぽい。

あとは、玉ねぎ、じゃがいも、人参、ナス、トマト、を一列ずつ。

畑の囲いの北、山側に、苗木を「複製」して植える、これも、名前も知らないものが多いな、転生者の遺産か?

林檎、柿、桃、これらを、3本ずつ、横一列にして並べて植えてみた。これらも、何か、美味しそうな果物だろう。


全てに「促成栽培」をかけて、「水撒」をする。何と、早速双葉が出てきたり苗木が少し伸びてきた? 明日が楽しみ。

今夜の寝室は一階、残念ながら北側には窓は無いので畑の様子は見えない。

まあ、朝まで楽しみを取っておこう。


実は、この寝室のベッドの下にも箱に入った金、金貨があったんだよ。


金貨1000枚、銀貨1000枚、銅貨1000枚、こっちは、マジックバッグでも何でもない普通の箱、まあこれはこのまま、ここにあったままにしておこう。


寝る前に、居間でやや暗くなった前庭を見ながら、花壇があっても良いかも?なんて思いつつ、「並列思考」で竜魔石に記録された静香さんの記録を読んでいる。これは、静香さんだけの記録だけではなく、勇者一行のものも入っている。残念ながら、この中に、カナデやミキのものは無いから、時代が違うんだろう。

静香さんのスキルの「魔法創造」は便利で面白いが、他には、


*収納空間

   時間停止空間、時間経過空間、

*収納解体 収納空間に入れて解体する

*部分収納 例えば身体の部分を収納する

   魔石回収 回収、収納して保管

   部分回収して不要な場合は、そのまま暗黒空間に捨てる(復元不可)

*剣聖剣神 剣術最高峰 剣、刀、木刀、棒、枝、などの使用時に有効

*命中必殺 命中率100%(100m以内)

*魔法付与 錬金術で自分の持っている魔法を付与できる

*絶対防御

*攻撃無効

*スキル無効

*魔法無効

*超絶治癒 病気治癒、治癒、ヒール、

*超絶回復 怪我回復、欠損回復、回復、ヒール、

*催眠魂殺 不殺、催眠、魂殺、意識を狩る

*飛行   浮遊、飛行、飛行時は顔面に風結界が張られる


これらのスキルを「複製」した。これじゃまるで、スキル持ちの転生者だよ。

しかも、何か、今まで知らなかった知識、きっと、転生者関連だと思うけど、そういうのが普通になってきている気がする。記憶の複製なんて能力は無かったと思うけど・・・


そろそろ、風呂の準備だ、魔石駆動だが、操作は簡単だ、

赤い魔石で湯、青い魔石で水、が出るので、とりあえず、両方の魔石に触れて作動させる。バスタブにすごい勢いで湯が溜まっていく。

静香さんの私物の中にあった、石鹸とシャンプー、タオルを「複製」しておく。

湯を止めて、やや熱めなので、水だけ出して、ちょうど良い湯加減にして、かけ湯をしてタブに浸かる。うん、とても気分が良い。

石鹸は、これ、静香さんの自作だろうか、香りがとても安らぐ。

身体を洗ってシャンプーして、流して、また湯につかる。のぼせないうちに出よう。


なかなか静かで、良い場所だ、朝方は、小鳥の声がやや煩いかな・・・ま、慣れるけど。

屋敷の裏に出てみた。驚きだよ、スイカもメロンもイチゴも、実を付けて大きい、これ、全部熟しているな、すぐにでも食べれる。とりあえず、収穫して「収納」しておく。ここ「収納」内なら腐らないから。果樹のほうも、これはこれは大変な景色だよ、林檎や柿、桃が、一本の樹に、60個以上は大きな果実が完熟?状態で実っている。小さな実の間引きも勝手に行われたみたいで、大きな実だけ残っている。

これの収穫大変そうだ。なので、「収穫」魔法を作って、一気に収穫「収納」した。

「水撒」も「収穫」も、取得魔法・緑魔法に分類しておいた。


台所へ行って、林檎、柿、桃、スイカ、メロン、イチゴを一個ずつ出して、水洗いして、食べてみよう。

林檎、柿、桃は、ナイフで皮を剥いて、少しずつ切り取って食べてみたが、・・美味い!

スイカは、大きいので切って、1/4だけ食べた、甘くて水々しい。・・美味い!

メロンは、半分にして中の種を取り出して、皮を剥いて食べる・・甘い!美味い!

イチゴは小さかったので、大きめのを4個出して食べる・・甘酸っぱい、美味い!

これ・・・何なんだ? 全部、美味しく食べれるよ。種から、一日あれば出来るし。今度、王都の果実店にでも行って、いろいろ果物の調査をしよう。

静香さんの種の中には、まだまだ僕が名前さえ知らないものがあるからね〜。

野菜も、全部できていると思うので、「収穫」で「収納」しておいた。静香さんの私物に「カレー」というのがあったので、これで、カレーも作ってみよう。これも、転生者たちの遺産なんだろう。

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