bizarre〜猟奇〜 短編1万

鷹山トシキ

第1話

 幼少期に家族が離散し孤独に育った相田和美の趣味は釣りだ。そんなある日、家族と疎遠になり孤独に打ちのめされながら生きる老人の佐伯貴弘を見つけ、孤独死寸前の貴弘を監視し続けることで優越感を感じることに取り憑かれていく。


 ところが、貴弘は若くて美しい直子と出会い、彼女とセックスすることで生命力を取り戻していく。

 そんな幸せそうな貴弘を見ていた和美は、怒りに震えて貴弘の家を襲撃。監禁して逆強姦し、何も知らずに助けにきた貴弘の息子を貴弘の目の前で殺してしまう。直子も和美に襲われたと知った貴弘は、隙を見て脱出した。


 羽柴正義率いる民俗学チームの男女6人が三殿台遺跡にやってくる。学芸員の忠告も聞かずに登山する。しかし頂上で肉を発見したメンバーの一人が突然、食べた。そしたら発狂し襲いかかり、羽柴教授を食い殺す。すぐに下山しようとするが、カニバリズムは伝染するらしくメンバーは次々正気を失い仲間を喰い殺し、また襲いかかってくる。唯一正気だった貴弘と恋人・直子、ライバルの安河内乱造は山小屋に逃げ込む。しかしゾンビと化した和美の襲撃に遭い、貴弘以外のメンバーは死亡あるいはゾンビとなる。貴弘はなんとかして下山した。 


 貴弘は横浜市にあるアパートに戻ろうとしたが、もしかしたらゾンビ化した和美に襲われるんじゃ?と、ビクビクした。それなので、愛川町ってところにある温泉に泊まることにした。

 

 相模の田舎道を貴弘が車に乗って急いでいる。しばらく行くと、トラックが前方を塞いでいて通れないので、車を降りてトラックの運転手に事情を聞くと、数キロ先での事故で数時間は通行できないだろうと言われる。意を決した貴弘は車を返しながら、遅刻の連絡を入れるが通話圏外となり途中で通話が途切れてしまう。未舗装路に入ってガスステーションを兼ねた民家に立ち寄り、電話を借りようとするが、壊れた公衆電話しかなく用を足せない。民家に貼ってある地図を見て、曲がりくねった山道を行けば先ほど通れなかった区間を通り越して行く先にたどり着ける可能性を見出す。二又で一瞬迷うが、けっきょく先の山道の方に入って行く。カーナビをいじってるときに前方注視が疎かになった瞬間、前方に停まっていたラグジュアリーカーに衝突してしまう。

 その車で来ていたのは、若葉、剴、財弘の3人の練馬ナンバーだった。さらに後ろから多摩ナンバーが現れた。

 若葉のボーイフレンドの大輔、財弘の旧友の伴助の計5人である。6人に怪我はなかったものの、車は故障、携帯電話も通じず、人の気配もなく、孤立してしまう。伴助と財弘を除く4人は公衆電話のある場所まで山を降りることにする。伴助と財弘はその場に残り、財弘が貴弘の車の中を物色している間に、伴助は何者かに襲われる。1人残された財弘が伴助を探しに森へ入り、彼の片方の靴を見つけて驚くが、今度は自身が背後から襲われる。


 大輔ら4人は人家を見つけ、貴弘が電話を借りようと中に入るが、食事をした跡など生活の気配はあるものの、家中散らかし放題になっており、冷蔵庫には人の臓器と思しき袋がたくさん保存されている。気味悪がった4人は剴が用を足し次第、即刻家を出ていくことにするが、運の悪いことに住民らしき者が古トラックに乗って帰ってくる。逃げ場をなくした4人はひとまずベッドの下に隠れる。3人の住民は部屋に入り、財弘の遺体を解体し始める。恐怖におのいた4人は、住民が寝入ったすきをついて家から逃げ出すものの、ドア口のところで貴弘が立てた物音により住民は目を覚まし、トラックに乗って追いかけてくる。4人は山の中を抜けて、住民が襲った観光客らの車を集めた駐車場まで追いかけられる。エンジンを掛けたままのトラックを降りた住民は4人に襲いかかってくるが、貴弘が囮となって住民を引きつける間にトラックを奪って逃げようとする。貴弘は足に銃弾を受けて倒れるが、今度は大輔が囮となり、その間に貴弘に肩を貸した若葉と剴の3人がトラックを乗っ取って走り去る。3人は山の中を走って逃げる大輔を見つけ、トラックに乗るように叫ぶが、大輔は住民から弓矢で3発背中を射抜かれて殺され、住民に引きずり去られる。3人が乗るトラックは林道を塞ぐ倒木により行く手を阻まれ、3人はそこから歩いて山を移動する。


 夕方、3人は見張り塔で救急箱と無線ラジオを見つけ、貴弘の治療と救援をしていたところ、住民らが見張り塔までやって来る。息を殺してやり過ごそうとするが、無線ラジオに入った応答により、住民に存在を気付かれてしまう。塔に上がってくることは防げたが、今度は火攻めに遭ったために、3人は塔から周りの木に飛び移る。剴は木に登ってきた住民に殺された一方、若葉と貴弘は木の枝を使って住民の撃退に成功する。2人で滝の背後に隠れた際、貴弘は若葉から今回の旅行は剴らが失恋したばかりの自分を慰めるために行ってくれたことだと教えられる。自責の念にかられる若葉を貴弘がなだめる。


 夜が明け、道路を見つけた2人は通りかかったパトカーに助けを求めようとするが、若葉が住民に襲われて連れ去られる。山から転がり落ちた貴弘はそのままパトカーを運転してきた警官に助けを求めるが、その警官は住民の放った矢が頭に刺さり即死する。貴弘はパトカーの下に潜り込み難を逃れるが、住民が運転席に乗り込んだため、いったん茂みに隠れる。その後住民がパトカーを動かしたため、再び下に潜り込んで住民の家までそのまましがみついて付いて行く。一方、住民の家では若葉が猿ぐつわを噛まされベッドに縛り付けられており、パトカーで帰宅した住民が警官の遺体を解体していた。若葉が今度は自分の番とおびえていたところで、貴弘がパトカーに乗って突っ込んでくる。不意をつかれた住民らは次々と貴弘の反撃に倒れ、若葉も協力して最後は爆発したパトカーもろとも炎に包まれた家の中で住民らは焼死する。

 若葉らを乗せた古トラックが、貴弘が山に入る前に立ち寄った地元民の家にたどり着くと、地元民は住民だと恐れて隠れる。貴弘はトラックに戻り、若葉とともにトラックでその場を後にする。


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