第22話 におい(物語の中にも添えて)

 臭い。

 匂い。


 どちらにしても、嗅覚を刺激する。

 五感の一つも、しかし忘れがち。


 実話系怪談の第一人者、「新耳袋」の木原浩勝先生、中山市朗先生の、確か木原先生だったと思いますが、別の著作でおっしゃっていました。


「実体験か、都市伝説か、それを見極めるには、『におい』がその話のなかにあるかどうか」


 実体験であれば、においがそこに含まれていなければおかしい。

 においは記憶と強く結びつくのだから。

 それがあるかどうかで、リアルさが全く違う。


 なるほどなあと、感心しました。


 これ、フィクションでもいえることだなと。


 創作の物語でも、視覚や感覚、心の中だけを追いがちですが、「におい」嗅覚も添えれば、なおリアルに迫ってくる。


 土のにおい。

 潮の香。

 森のフィトンチッド。

 花園のむせかえるような。

 食べ物であれば、甘いにおい、辛いにおい、はたまた鼻がひん曲がる悪臭を放つのか。


 家の中でぼんやりしている風景でも、夕飯の用意のあわただしさが階下からしてきたなと思えば、同時に懐かしさも感じるにおいも立ち上ってくる。そうなればリアルに五感が刺激され、自分も作中人物のその時間を追体験できます。

 

 生活の中には必ずにおいもある。

 それをしっかり捉えて、作品のなかにも漂わせる。


 印象深い作品になるかどうかの分かれ目の一つかも?


 そんなどうでもいい話。

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