ぷるぷる。ワタシ悪い魔女じゃないよ
腹パンでわからせたい顔の人
序章:聖女の再来
1節プロローグ
【とある少女のメモ】
そんけいできるお姉ちゃんの5つの条件
◯ひとつ、優しいこと
△ひとつ、頭がいいこと
△ひとつ、目をみて話せること
◯ひとつ、つよいこと
×ひとつ、ひとをむやみに殺さないこと
◆◇◆
「ぐぎゃぁぁあぁぁァあァ!!!」
木漏れ日が揺らめく森の中、断末魔が響いた。
声の主は緑色の肌を持ち、下腹部が膨れ、つんと尖った耳の小人。通称『餓鬼(ゴブリン)』と呼ばれる人喰いの魔物は、腰から二つに叩き斬られ絶命した。
「弱ぇなぁ」
巨漢は不満げに鼻を鳴らしながら、餓鬼の血がついた大剣を払う。巨漢の腕は小娘の胴ほどの太さがあり、餓鬼の肉を裂き、骨さえも力技で断つ業(わざ)納得のものだった。
「大丈夫かぁ?」
「ひっ」
男が振り向くと、小さく悲鳴が上がる。そこにいたのは、橙色の短い髪と少しだけ吊り上がった目頭が特徴的な少女、ティナだった。
ティナは尻餅を突き、怯えた様子で歯を鳴らす。その視線は餓鬼ではなく、男へと向けられていた。
「そんな怯えなくてもいいだろぉ? 守ってやったんだからよ」
全く心外だというように、彼はわざとらしく首を振る。
「だ、だれが……っ! わ、私を、さ、攫ったくせにっ……!」
「ま、そりゃそうなんだが」
男は口角を上げて、醜悪に笑う。比較的浅い森の入り口付近で山菜取りをしていたティナを、魔物の出る森の奥深くへと連れてきたのは他でもない彼だった。
彼にとっては、いつものことだ。
売女のような熟れた女ではない、若い果実を貪る瞬間はたまらない。喘ぎ声とすら呼べない絶叫を聞きながら腰を振ることで、最高の快楽を得ることができるのだ。
まして、死ぬまで首を絞めた時の『締め付け』など、職業女では味わえないものがある。
「いい女を見ると、つい滾っちまう。仕方ねぇだろ? こんな仕事してるとよ?」
男は大剣を軽々と持ち上げてみせた。
餓鬼のような魔物を狩ることを生業としている者を、総じて探索者(シーカー)と呼ぶ。彼はその中でも強者だと自負しているし、それは事実だった。
彼はA級探索者だ。
帝国有数の強者であり、貴族からの依頼など珍しくもないほどである。
「け、憲兵に言い付けるわよ!?」
「そりゃ無理だな。やることやったら殺すからな」
「っ……」
怖い。
ティナの顔は、深く深く恐怖に染まる。力が全く入らないのか、立ちあがることすらできていない。
ガクガクと全身を震わせ、股間を中心に、スカートに染みを作っていく。
「ま、運が悪かったな―――ん?」
いざ楽しもうと男が歩みを進める直前、視界の隅にそれは映った。
少し離れた場所に、ローブを被った女が立っていたのだ。
頭をすっぽりと覆っているため口元しか見えないが、ローブの上からでもわかるほどに立派な膨らみの持ち主だった。
―――新人探索者か?
男はその背格好と装備から、そう推測する。
ここは森の深くであり、一般人が来るような場所ではない。それに、探索者には森で薬草や山菜を撮りに行く依頼が割り当てられることがある。
加えて、魔物の蔓延る森でローブで頭を覆うなど、視界が悪くなるので愚かでしかない。
故に、新人かと考えたのだ。
せいぜい、森で迷って奥まできてしまったというところだろう。
「あ、あの……」
―――まあ、口封じするか。
そう男が結論を弾き出すと、少女―――声音が若かった―――は近づいて訊いてくる。
「あ、あの、い、痛くしないので、死んでもらえます、か?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます