喜怒哀楽のヒマワリちゃん

@kugono95

プロローグ

高校生活が始まって二か月が過ぎた。

若葉わかば君、早く用意してよ!!!!」

「はわぁぁ、おはよう、プリンセス Zzzz」

「ほら、寝ないで早く起きなって。あと、、、」

バチン!!!!

「いっっって!!!!何しやがる紅葉もみじ!!!!背中に手形がついちまうじゃないか!!!」

「プリンセスって言った罰だよ。僕は男なんだから、もっとかっこいいあだ名で呼んでよね」

「考えておくよ。」

二次元の世界ではかわいい女の子が起こしに来てくれるらしいが、俺のところにはかわいい男の子が来てくれる。

『あぁ、今日もかわいいな』なんて考えていると思いっきりたたかれるので要注意だ。紅葉は、身長が低く、顔立ちが女の子っぽいため、クラスの女子から『プリンセス』と呼ばれている。しかし、男らしくなりたい暁 紅葉はそのあだ名を嫌っていた。俺は、かわいらしい紅葉もいいと思うけどな。


「いってきまーす」

身支度を整えたらすぐに家を出た。

「紅葉が早く来るから、朝ごはん食べられなかったじゃねーか」

「早起きしない若葉君が悪いよ。」

駅まで歩いて10分くらい、そこから電車で40分かけて高校へ通う。

たわいもない話をしながら駅へ向かった。


駅前には、見慣れた姿があった。

「何話してんだ?ヒマワリ、ユキ」

後ろから話しかけながらヒマワリの上に肘を置いた。

「だ~か~ら~、私は若葉の肘置きじゃないって言ってるじゃん!!!」

ヒマワリは、怒りながら俺の横っ腹に肘打ちを食らわせてきた。

「ゔぅ。さすが、運動部。これはきついわ」

「じゃあ、もうやらないことだね」

ヒマワリは、やり返しができ満面の笑みだった。

陸上部に所属している日向 ヒマワリは、朝から元気いっぱいで周りの人も元気にしてくれる不思議な奴だ。

「おはようございます。暁さん、桜木さん」

「ユキさん、おはよー」

「おはよー、ユキ」

痛みがまだ残るが、挨拶は大事だ。

育ちのいい感じが出ているのが、白石 ユキだ。

ユキ以外とは小学校からの付き合いだが、ユキは中学2年の秋に転入してきた。初めて会ったときからの呼び方が定着してしまったため、苗字で呼ばれている。

育ちのいい感じが出ていて、最初は近寄りがたかったが今では大切な友達だ。

「ユキ、昨日はありがとな。おかげで、数学の宿題を終わらせることができたよ。」

「お役にたててよかったです。勉強は得意なので、どんどん質問してくださいね!」

学年トップ様は、やっぱり違うぜ。学力はユキがトップ、紅葉と俺が中間、ヒマワリが下の中くらいだ。

「ユキさん、僕もありがとうね。ユキさんが送ってくれた解説ノートのおかげで、英文法を理解できたよ。」

ユキは感情を表に出さないほうだが、褒められると照れているのか、少しうつむく。

「ごめん、私、理解できなかった。」

横からとんでもない発言が飛んできた。

「マジで言ってるのか、ヒマワリ」

「だって、英語難しいんだもん」

あのわかりやすいノートも見てもだめなら、救いようがないのかもしれない。

ほらみろ、ユキが困った顔をしてるじゃないか。たぶん、なんで理解できないか理解しようとしてるんだろうな。

「ヒマワリちゃん、学校についたらもう一回やってみよ。しっかりとやれば理解できるはずだからさ。」

「え、別にいいよ。英語できなくたってなんとかなるって!」

「赤点とったら部活禁止だよ、ヒマワリちゃん」

「ユキ様、教えてくださいませ。」

ヒマワリは、ほんとになんとかなる精神で生きてるんだな。

よく高校受験をパスできたなと毎日思ってる気がする。


ヒマワリがいると話題が絶えないため、通学時間はあっという間に経ってしまう。


この物語は、ヒマワリに振り回されるお話だと思ってくれ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る