ホシオトシ
けーいちさんin排水の陣
キャプチャー1『始まり』
深い森の中、8才ほどの9人の少年少女が倒れていた。色鮮やかな貫頭衣に身を包んでいる。
少しして、少年少女は目覚め始めた。
心優しき少年
「ここは……?」
少年少女は全員目を覚ました。困惑する者、泣きそうになる者、静かに周りを観察する者……。皆それぞれの反応をした。
勇気ある少年
「なあ、オレは気がついたらここにいたんだけど、何か知らない?」
気の強い少女
「知らないわ。わたし、ベッドで寝たはずなんだけど。」
元気な少年
「うーん、ぼくも知らないなあ。ここってどこなんだろう。」
声をかけられたことによって緊張が解けたのか、数人が会話を始める。
森は暗く今は夜だが、空には色とりどりの星が輝いていた。惑星のような、大きな星も見えた。
聡明な少年
「……ねえ、ちょっと歩いてみない?誰かいるかもしれないよ。」
少年少女は移動を始めた。
しばらくして、少年少女は足音と声を聞いた。そして間もなく、木々の間から人が現れた。狩人のような格好だった。
狩人
「……ん?君達、何故ここに?」
勇気ある少年
「あ、あの!オレたち、気がついたらここにいて!」
狩人
「……。ああ、なるほど!君達は『落とし子』か!」
心優しき少年
「『落とし子』?」
狩人
「そう、『落とし子』だ。たまにいるんだよ、他の星から落ちてくる子が。」
気の強い少女
「他の星、って?」
狩人
「他の星は他の星だよ。そしてここは『気球の星』。ほら、空にたくさん星が見えるだろう?そこからこの星に落ちてきたんだ。……はは、難しいか。まあ、大丈夫だ。あまりにも『落とし子』が多いから、対応は決まっている。案内するから、付いてきなさい。」
少年少女は、狩人に付いていく。そう時間もかからぬ内に森を抜けると、沢山の畑や工場が現れる。その間を通って、大きな建物に入っていった。
狩人は迷わず進み、大きな扉の前で立ち止まった。扉の横のボタンを押し、少年少女に振り返る。
狩人
「これはエレベーターだ。少し時間はかかるが、降りたらすぐに着く。」
扉が開き、狩人が乗り込んだ。続いて、少年少女も乗り込んだ。
エレベーターは、ゆっくりと動き出し、どんどん下に降りていく。
10分程でエレベーターが動きを止め、軽やかな音と共に扉が開いた。
狩人
「さあ、こっちだ。」
にこやかな表情を浮かべる狩人に、少年少女は付いていく。
重厚な鉄の扉の前で、狩人は止まる。そしてその扉を開き、中に入るよう言った。
少年少女が全員中に入ったことを確認すると、狩人は扉に手をかけた。
狩人
「逃げるんじゃねえぞ。」
先程までとは打って変わって、嘲るような表情と脅すような低い声だった。
そうして、金属の扉は固く閉じた。
少年少女は、閉じ込められた。
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