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「盗賊団を見失った、ですか?」


「はい……」


 今回、近くの村から依頼を受け街道周辺で襲っている盗賊団を捕まえるために首都から来た私たちは斥候からの報告を受けていた。


 いくつかの村を周り、何人かのメンバーで散策を行いようやく突き止めた盗賊団のアジト。今夜中にその周辺を囲い、明日の早朝捕えるために準備をしていたのだが、その盗賊団がいなくなっていたらしい。


「逃げられたのではなくって?」


 一番最初に考えられるのは、逃げられたという可能性だが、どうなのだろうか。


「森は囲んでいたので、少なくともこちら側には逃げられていません」


「では、森の奥の山側の可能性は……」


「魔物の領域に逃げていた場合、わかりません……」


「そうですか」


 逃げられてしまったものは仕方がない。願わくば、盗賊団が強い魔物と遭遇して全滅していることを願う。


 しかし、最近は変な事件が多い。先日も村があった場所が跡形もなく何も無くなっていた。何か良くないことが起きる前兆なのかもしれない。


「何も起きなければいいんですが……」

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