160

お兄様以外、みんなゴミだ。


 村人の性格がゴミなのは言わずもだが、今こうしてお兄様が魔物化した男性も、自分が上の立場にたったら欲望をむき出しにしている。


「これでいいんだ」


「そうなんですか?」


「ああ、これでもう引き返せないところまで堕ちた彼は、こちらの言うことをききやすくなる。今の環境を、手放したくないだろうしね」


さすがです、お兄様!


 そんな、人間の醜いところまで理解した上でコントロールできるお兄様は、やはり流石だ。


「だけどお兄様、これで戦力の増強ができるんですか?」


「彼にはゴブリンの指揮官になって、ゴブリンを指揮してもらおうと思ってる。拾ってきた村人もゴブリンの苗床にして、数を増やす予定だよ」


さすがです、お兄様!


 その一切の慈悲もない決断に、惚れぼれする。これだけの決断をあっさりできてしまうお兄様は、やはり流石だ。


あーあ、ゴブリンもさっき男性が入った小屋になだれ込んでいる。くさいので離れよう。


「男はどうするんですか?」


「食料を作らせて、ゴブリンのために働いてもらおうか」


さすがです、お兄様!


 私たちに従順になれば飴を。反抗的な態度には鞭を与える。そんな飴と鞭を使い分けれるお兄様は、やはり流石だ。


私は改めて、兄の魅力に魅了されていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る