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「人間の嬢ちゃんよ、そんなに心配かい?」


 流石に魔王城に招かれたのは、人間の小僧だけ。嬢ちゃんは、魔王城の外で待つことになった。


「別に命の心配はしていません。お兄様はいろんな意味で強いので」


 確かに、あの小僧は強かったの。単純な腕っぷしはそこまでじゃったが、一撃一撃に気持ちが乗っていた。


「確かに、何か力だけではない何かを感じたの」


「お兄様は昔から色々なものを惹きつける力があった。まるでそれが決められた運命かのように、人も、物も、魔物も、精霊だって」


「ほぉ」


 確かに、炎の精霊が声をかけてくる。そんなこと、長年生きてきて初めての経験だ。それが目の前で起きたことに、驚きながらも受け入れていた自分がいた。


「特にお兄様は、女性のよく惹きつける……そこだけが心配です」


「はは、なら問題なかろう」


 そもそも、魔王軍の中に女性は少ない。それに感性が全然違うのだ、人間を姿形を好む魔物はそんなに多くない。


「それならいいんですが……」

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