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 治療を受けながら、彼女のことを聞く。


 彼女は以前、こちらの女性とパーティを組んでいたそうだ。その時、別の男性とパーティを組むようになったため解散をした。


その男性にもミラと名乗っていたそうだ。


「ミアは理由は分からないけど、いくつか偽名を使っているみたいなの」


 偽名を使う理由はなんだろうか。今となってはどうでもいいが、こちらに信頼をおいていなかったため名前を偽っていたのだろう。


 彼女とパーティを組んでいた、別の男性は死んでしまったらしい。原因は魔物に刺されてとのこと。


 真実は分からないが、その死体を持って帰ってきたのもミア? だったらしい。


「……はぁ」


「まあ厄介な女に目をつけられたと思って諦めな」


ふざけんな!


「……俺はこの街を離れる。ミアには追ってくるなと伝えてくれ。あと俺の行先も知らないで通してくれ。頼めるか」


「まあ、それくらいなら別にいいけど……」


 こんな危険な土地にいつまでも滞在するわけにはいかない。彼女が目を覚ます前にさっさと離れることに決めた。

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