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最前線は想像を超える強い魔物ばかりだった。


 まず多くいるのはトラウグという死霊だ。彼らは人間の死体から死霊となる。そのため見た目は人間に近く、装備も当時のままだったりする。そしてなにより強い。


 最前線に来るような猛者だからか、死霊になったあとも生前の強さが健在でかなり手こずる。


 そして手こずっていると足元からニーズヘッグという蛇の魔物が寄ってくる。ニーズヘッグは音もなく近寄り後ろから噛みついてくる。噛み付かれた場合、殺されるまで離さず血を吸い続ける。太さも人間の足くらいの太さがあり、防具が無ければ食いちぎられていたかもしれない。


「はあ、はあ」


 手傷を負ったがなんとか撃退する。体力も大分消耗したのでキャンプ地も近いので一旦戻ることにした。


「あ、貴方! 怪我してるじゃない!」


 キャンプ地に戻ると声をかけてきたのは先ほどのお節介な女性だった。


(あ、耳が……)


 さっきは無視をしていたので気づかなかったが、耳が少し長い。


「お前、エルフか?」


「そうだけど……そんなことどうでもいいから傷の手当しないと!」


 女性に引っ張られ、治療テントへ向かう。甲斐甲斐しく治療を受けるは、心の中では別の事を考えていた。


(もしかして、エルフならこの世界の女と違う!?)


 今まで、どこが強引で傲慢な人間の女から感じていた雰囲気とは違う。むしろエルフはこれくらい傲慢じゃないと、みたいな先入観すらある。


「はい終わり。全く、男の人間の癖に一人で戦闘区域なんて入るなんて……」


「あ、ああ。すまない……」


「次、行くとき私に声かけて。一緒に行ってあげるから」


なんかエルフでいい気がしてきた。

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