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「ほらほら、どんどん倒さないと、どんどん増えるよ!」
「くっ!」
ドラゴン退治は思ったより手間取っている。アースドラゴンは自分の子供を産む。鉱石を食べ、その鉱石を使って子供を作る。大分長い間放置していたのか、手下の数はパッと見えるだけでも30はいる。そしてその一匹一匹が強い。
そして貴族の女が役に立っていない。
早々に細剣が折れてしまい、今は少し後方の木の上で待機している。本当に何しにきたんだあいつは。
「さすがに二人だときついかな」
カサンドラは撤退をしようかどうするか悩む。その時、少し先でドラゴンの咆哮が聞こえる。
がああああああああああああ
その声は怒っているように聞こえた。子供を殺されて怒らない親はいないだろう。
「まずい、まだ周りが排除できていない! 悪いけどここは、いったん――」
「チャンスだ!」
子供を完全に無視して前に出る。
「え!? ちょっとなにしてるの!」
その声も無視して前に出る。子供ドラゴンは親が来たことで安心して、こちらに攻撃してこない。
目の前を走り抜けて親ドラゴンの前に辿り着く。やばい、判断間違えたかもしれない。
高さ約5m、横幅3m。今までみた魔物の中で特大に大きい。そして表皮は金属でできているのか光沢があり、いわゆる西洋のドラゴンタイプだった。攻撃を仕掛けるがアッサリと剣がはじかれる。
「下がってな!」
カサンドラがドラゴンに攻撃を仕掛ける。彼女の攻撃はドラゴンに効いており、確実にダメージを与えていく。くそ、ここでは俺も役立たずか。
「ドラゴンの表皮は堅い! 普通に攻撃をしても通らないから剣に魔力を込めな!」
そういいながら確実にダメージを与えていくカサンドラ。
剣に魔力を込める? どうやるんだよ! 急にそんなこと言われてできるほど俺は天才ではない。そこでハッと気づく。
(そういえば俺『
剣に魔力を込める。心なしか剣が薄く光っているような気がする。その剣でドラゴンに攻撃を仕掛けるが、薄く切れるだけでダメージを与えられていない。
「魔力の張り方が弱すぎる! もっと強くこめな!」
くそ! これ以上込めるとすぐ魔力切れ起こすぞ! レベルの低い自分が恨めしい。
魔力を込め直し攻撃を仕掛ける。ダメージが通り始めるが、もしこんなところで魔力切れを起こし動けなくなったら確実に殺されるだろう。だからイメージをする。
【できるだけ魔力は少なく】
【ダメージを与えられるだけの量で】
【表皮を切り裂けるように】
【鋭く】!
「な!? 属性剣!?」
その剣は鋭く、そして滑らかにドラゴンの首を斬る。今までは堅く通らないと思っていた表皮が、抵抗なくスルリと抜ける。振りぬいたその剣は、ドラゴンの首を刈り取った。
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