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ワタクシは貴族の娘だ。


 領主の娘ということもあり、街の中ではかなりの顔が利く。街を歩けば平民がひれ伏し、買い物をすればツケもきくし、買えないものがない。とりまきを連れていれば面倒ごとに絡まれることも少ない。たまに取り巻きが暴走はするけど。


 そんな自由奔放に生きていた時に、父から告げられる。


「婚約者ですか?」


「ああ、クラウディアもそろそろ結婚を考えないとね」


 ワタクシは現在18歳。確かに結婚を考える時期だ。母はワタクシが幼いころに亡くなったため、父がここまで育ててくれた。そんな父は私を甘やかして育ててくれたため、今まで自由に過ごしてこれた。


だけど結婚すると……


 結婚後を想像する。旦那が事務的な政治を行い、私が先頭に立って街を回していかないといけない。結婚すれば母親というトップがいない我が家からすればワタクシがトップに立つのが自然だ。所帯を持つということはそういうことになる。


それは……面倒ですわ。


 今の何も縛られていない生活を好んでいるワタクシからすると結婚には何もいいことがない。だから今回も断ることにした、ワタクシに甘い父なら許してくれると思ったからだ。


「お父様、ワタクシ結婚はまだしたくありません」


「クラウディア、そうは言っても結婚しないわけにはいかないよ」


「どうしても結婚しろと仰るなら、ワタクシ、自分より弱い男性とは結婚はしたくありませんわ! だからワタクシより強い男性を連れてきてくださいまし」


「クラウディア……」


ふふ、こういっておけば父は諦める。


 そう思っていたが婚約の話は順調に進んでいるようだ。しかも自分よりも弱い男で。一度顔を合わせたがナヨナヨした感じで、とても領主の代わりを務められそうになかった。そんな、なんとかしないと思っていた時期に彼は現れた。


彼は男の癖に果敢にもワタクシに襲い掛かってきた。


 自分より強い男なら、自分より上に立っていても違和感がない。そんな悪だくみを考え、彼に期待する。


「彼ならワタクシの願いを叶えてくれるかもしれない」


そう信じて。

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