34

 いやぁ昨日はトロールの臨時収入が入ったおかげで、宿にも止まれてご飯も食えた。良かった良かった。今日も出てくれないかなー、トロール。

 でも、トロールを倒したのにレベルが上がらなかったな……やっぱり雑魚なんじゃないか? あいつ。


 そんなことを思いながらギルドのドアを開ける。


「あ」


 と昨日対応してくれたイケメンの受付が反応してくれる。


「こんにちは、聞きましたよ。トロールを倒したんですって」


「ああ、雑魚だったよ」


 ザワッとするギルド内、そこかしこでまた陰口が始まる。やれ本当か、やれ不正だの。こいつら昨日もいたけど仕事してるのか?


「トロールはその体の性質上、皮膚が硬く剣が通りにくくなってます」


 ああ、皮膚の薄いアキレス腱だったし余裕だったな


「また特性として傷の再生能力が高く、傷を負ってもすぐ回復してしまうので連続で絶え間なく攻撃をしないと倒せないんですよ」


 石当ててただけだしな。あれはどっちかというと体の中にダメージが溜まったんじゃないか? 知らんけど。


「なので非常に倒しずらい魔物となっています。まあ勿論個体差もあるので気を付けて下さいね」


「え? 個体差あるの?!」


「ええ、魔物は種族ごとに魔力操作レベルが決まっていると言われています。なので個体差は魔力レベルによって差が生まれますね」


 へぇ~そうなんだ。これは一つ勉強になった。でもなんでそんなこと知ってるの?


「え? 常識ですよ」


「そうなんだ、常識なんだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る