酔生夢死

酔喪ウドク

コーヒー

黒いコーヒーの中に、頂いたミルクを流してみると、コーヒーが急に谷底に見えるようになる。

それで私は一瞬だけ 空から眺める神さまのようになって 谷底を冒険する人間になるのだ

薄暗くて細い谷底にランプを灯して 眩い空に憧れて見上げた

そして向こうへ行こうとする

黒い土を一歩いっぽ踏みしめて歩いてゆく

そう言った夢もすぐにミルクに溶けるのだ


夕焼けのような色になったコーヒー

それを飲んでみても、甘くはない

ミルクを入れてまろやかになっても、遠くにまだ苦さを感じさせるのだ

砂糖をいれなきゃ 甘くない

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