逃げる、追いかける、聞く

まっすぐだった定規

第1話



『配信鬼ごっこ、はっじまるよ~!!』



 開始ボタンをタップした僕は、リスナーに呼びかける。







 ここは、とある中心市街地に立地する駅。新幹線、在来線の乗換駅としても機能している。各線乗換利用での通勤・通学客も多く、一日約2万人が利用する。



 壁にもたれる僕の前を、いろんな目的で行き交う人たち。ぶつかることなく避けて避けられて流れができていく。



『みなさーん、こんにちは♪僕の配信に来てくれてありがとう』


『今日は、「配信鬼ごっこ」をするよ~!』


『なにそれ!?って?気になるよねっ!!じゃ、今からルール説明するね~』


『まず、鬼である僕が配信をします。ドコドコにいるよーとか、何が見えるよーとか言ったりします。』


『まぁ…ホントのことを言うとは限らないけどねっ!』


『あとあとっ!!今回は、なななんとっ!!実は、初コラボ配信なんです!!参加してくれるのは、にeあん@ココドコさんと、zz□zzさんでーす!!二人とも、本当に本当にありがとう~!』


『このお二人のリスナーさんも、今日は一緒に楽しんでくれると嬉しいな♪』


『僕がこの二人を追いかけて、その二人が、僕の配信を聞きながら逃げます。二人が捕まったら、もしくは配信中に僕が誰も捕まえられなかったらゲーム終了。これが基本ルールです!!』



『鬼ごっこする場所は、ここの駅ビルの1階から3階です。』


『あとあと!30分過ぎたら、僕から二人にミッションを出します!楽しみにしててね〜〜っ!!』


『あ、これだけは絶対やくそく!他人に迷惑なこと!!これはだめだめ絶っ~対っ!!だからねっ!』



『この限られたフィールドの中で!時に隠れ、時に逃げ…そんな手に汗握っちゃうようなスリルを、皆も一緒に味わってもらえると嬉しいな♪』



『15:00ちょうどまで!5、4、3、2、1!!』


『スタート!!!!!!』



 僕はスマホ片手に、歩き出した。



ーーー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る