波動

@yurar_a

砂の城

 皮草履を手に取ると、波打ち際の透明な水が薄く足の甲を覆ってきた。

 ひんやりと寄せる波の下に、大きく深い足跡を残しながら、男は重々しく歩き続けていた。

 『何と、名乗ろうか。』

 白い砂浜に反射する午後の陽射しのせいで、辺りは光に満ちていた。島の遥か向こうに広がる大陸の、森林の深い緑色に顔を移し、その奥地に鎮座する巨象のような施設群に目を凝らした。

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