第2話 【目覚める龍】
夜が明けても、筑波山周辺の被害は甚大で、余震が続いていました。山川草一は避難所に集まった人々とともに、落ち着かない夜を過ごしていました。彼の心は、不安と疑問でいっぱいでした。11龍と水の民の行方が気になって仕方がなかったのです。
朝日が差し込む中、草一は決意を固めました。自分の目で確かめるしかない。草一は避難所のスタッフに状況を伝え、筑波山へ向かう準備を始めました。周りの人々が止めようとしましたが、草一の決意は揺るぎませんでした。
山道を進むと、倒木や崩れた岩に阻まれながらも、草一は進み続けました。やがて、山の中腹にある古びた神社にたどり着きました。そこには、11龍の住処があると伝えられている洞窟がありました。
神社の鳥居をくぐり、草一は洞窟の入り口へと足を踏み入れました。中は薄暗く、冷たい空気が流れていました。懐中電灯を頼りに、奥へと進むと、突然、地面が再び揺れ始めました。
「また余震か……」
草一がそう思った瞬間、洞窟の奥から光が差し込みました。光の源へと歩みを進めると、そこには巨大な石像が並ぶ広間がありました。その中央に、11体の龍が彫られた巨大な石碑が立っていました。
草一は石碑の前に立ち、祈りを捧げました。
「11龍よ、私に力を貸してくれ。この地震の真相を解き明かし、再び平和を取り戻すために……」
その時、石碑が青白く光り始めました。光が強まり、やがて11体の龍が石から抜け出して実体化しました。11龍は草一を見つめ、その目には智慧と力が宿っていました。
「山川草一、お前の願いを聞き届けた。私たち11龍は、再びこの地を守るために目覚めた。だが、この災厄の背後には、古代から封印されていた邪悪な力がある。その力を封じるために、お前の協力が必要だ」と、11龍の長である蒼龍が言いました。
「何でもします。どうすれば良いのですか?」草一は強い決意で答えました。
「まずは、水の民たちを見つけ、協力を得る必要がある。彼らは、この地震の影響で散り散りになっているかもしれない。我々11龍とお前の力を合わせ、彼らを見つけ出し、再び団結させよう」と蒼龍は続けました。
草一は頷き、11龍と共に洞窟を出ました。彼の心には、希望と使命感が満ちていました。筑波山を見下ろすと、広がる被災地が見えました。これからの道のりは険しいものになるだろうが、草一は一歩一歩、進む決意を新たにしました。
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