ヤンキー、アイテム、パニック!

春顔

プロローグ「夜のはじまり」

 山田照士やまだてらしは深夜にコンビニにいた。

 夜勤の母に頼まれたおつかいを済ませていたのだ。


「ちょっと、君」


その時、照士は声をかけられた。警官だった。コンビニの前には自転車が停まっていた。それは、よく交番で見かけるシンプルなものだった。


お巡りさんは、夜の巡回中だったらしい。


 ――まずい、補導される!


照士は中学二年。こんな時間に外出していては補導される。

その知識はあった。


だから、彼は逃げた。


「あ! 待ちなさい!」


警官は追ってくる。照士は警官をまくために、いつもは通らない道を選んで走った。


追手から逃れることが優先で、家に帰るのは二の次になっていた。


だから、だろうか。


彼は、霧に包まれ先の見えない道に迷い込んだ。


警官から姿を隠せると――咄嗟とっさに、自ら選んだとすら言える。


そして、そこには不思議な「ヒト」がいたのだ――。

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