第44話 それは見解

 シェリーさんは、いい人だった。


 自分の問題解決に近づけていたことにも、すっごく僕に感謝してくれたけど。


 ずっとずっと……追いかけていたらしい、幼馴染みさん(あと多分初恋の相手)であるジェフさんの情報を知っても、はしゃいだりせずに真剣にレイザーさんの問題にも強く向き合ってくれた。


 とりあえずは、また冒険者ギルドに行ってみると……他にも購入してくれたポーションのパンを魔法鞄マジックバックに入れていき、魔法の杖を強く振って帰っていかれた。


 笑顔全開なのが、僕にも嬉しかった。


 イケメン神様からのお願いに関連する、ポーションの流通のひとつとして少しでも役に立てたのだから。



「……慌ただしかったな」



 ラティストは、僕と一緒に玄関でシェリーさんを見送ると軽くため息を吐いた。



「まあ、そうかもだけど。恋する女の子はいつだって一生懸命だしね?」


「……恋、か」


「ラティストはない?」


「……ないな」



 創始の大精霊さんって、物凄い長生きしてる存在でも……ないんだ?


 ジェイドって、弟さんがいるから家族はいるようでも……まだほとんど知らないに等しい、僕の契約精霊。


 色々知りたいこともあるけど、もうすぐ午後の開店が始まるから……この話は一旦終わり。


 と言うか、お客さんがすぐにやってきてまた満員くらいになったから、それどころじゃなかった!!



「……お疲れ様」



 完売したのは、だいたい夕方の五時くらいで……僕もだけど、ラティストもへとへとだった。彼は、大半は冒険者のお姉さんからのナンパでイラついていたのもあるけど。



「……何故、人間の女はああも強引なんだ」



 エリーちゃんやシェリーさんとかが違うのが分かっても……あれだけ、色んなグラマラスなお姉さん達からのアピールが嫌なら、こうなっちゃうもんね?



「ラティストが綺麗でかっこいいからだよ」


「……ケントに褒められるのは良いが。あのような人間らはごめんだ」


「ふふ。そうだろうね?」



 ただ、このまま行くと……お昼前の、あのぶちゃいくなおじさん貴族のように、わがまま貴族のお姫様とかがラティストを囲うとかもありそう。


 これも、専門の時のオタク友人から教わったラノベ知識とかだ。


 とりあえず、閉店作業と店の片付けなどをし終わったら……僕らも夕飯を作ることにした。


 朝早いから、必然的に食事もお風呂も早めなんだよね?



「兄さん、今日の夕飯はなんでやんすか?」



 オープンキッチンの中も綺麗にした後に、カウルは元のスライムに戻ってから僕に質問してきた。



「そうだね。ひとつ試作したいのもあるし……『ライスバーガー』にしてみようかな?」


「「ライスバーガー??」」


「ハンバーガーも近々作ってみるけど、今日はお米食べたいから!!」



 お米も流通しているこの世界だから、実はおにぎりとかがあるんだよね?

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