「眼鏡は運転のときだけ」

はこねこ

第1話 宇宙大好き少年

 今ぱっと覚えているきっかけは小学校,第1校舎の2階,3年生の教室。

教壇側のメインの黒板とは反対側の後ろの方,僕たちの背後にロッカーと,月間予定の黒板。その黒板の余白?(余黒かもしれない)スペースに「筑波宇宙センター一般公開」のポスター。

 僕が宇宙を好きになるきっかけはこれが決め手だったと思う。A4ポスターの裏側には当日の展示内容が30個くらい書いてあったと思うが,覚えているのは,「ペットボトルロケットを作ろう!」,「ロケット打ち上げを体感しよう」(正確な題目は覚えていない)の展示があったこと。

 それに興味をもって,どうやって親に頼んだのかは忘れてしまったが,父に連れて行ってもらえることになった。


 当日,子供ながらに「宇宙」「ロケット」に心弾ませながら車に乗っていたと思う。筑波宇宙センター正門を超え,正面の大きい建物を右に曲がっていったところに大きな広場があり,そこに車を止めていた覚えがある。

 その奥には,大きなパラボラアンテナ。どういうものかはわからないけれど,とてもかっこよかったと思う。

 

 お目当てのペットボトルロケットの体験。ペットボトルと,重りの粘土,扇形の線が描かれたA4の紙(切って丸めることでフェアリングが出来る),プラスチックの尾翼が渡された。父と一緒にあーでもないこーでもない言いあいながら作っていく。機体を回転させることで安定して飛ぶことが出来るとの父からの教えにより,尾翼を一方向に微妙に折り曲げた。


そうしているうちに打ち上げの時間になった。カウントダウンとともに,10機ほどのロケットが水しぶきを上げながら放物線状に飛んでいく。僕たちの作ったロケットは1番か2番目くらいに飛距離が出ていたと思うが,この時は,狙った地点に着地させるミッションのようなものがあり,僕たちのロケットは的を大きく通り越していた。

しかしながら僕はただうまく飛んで行ったことがとてもうれしかった。


書いているうちに色々と思い出してきたが,その他には,液体窒素の実験(よくマシュマロとかを使うやつ),特殊なリフレクター(普通の鏡などとは違って,入射角があっても光が入ってきた方向にそのまま光を反射させることができるようなもの)の実験を見た覚えがある。


それから筑波宇宙センターの一般公開には3回ほど行った覚えがあるが,いつの間にか行かなくなってしまった。そのまま通っていれば漫画宇宙兄弟の世界に一歩近づけていたかもしれない…


将来の夢が「宇宙飛行士」だったこともあったが,あきらめの早い性格なので早々に無理だと諦めてしまい。その夢を話すこともなくなってしまった。


ただ,僕はいまも宇宙が好きな大人で,時々山の上に星空観察に行っている。今覚えば,あの小学校3年生の黒板のポスターに出会えていたことが,僕の人生での初めての大きな重要な分岐点だったと思う。

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