異世界初の悪役令嬢に転生しました~悪役令嬢語しか話せないなんて!どなたか正確に翻訳してくださいまし~

めしめし

第1章 悪役令嬢に転生

第1話 プロローグですわ

「あなたは異世界初の悪役令嬢になるのよ!」


は?何言ってんのあなた。

気が付いた時、少女漫画とお菓子が散乱している汚部屋にいた。

私に向かって話しかけてくる、大阪のおばちゃん風ファッションの女の子。

一体私はどこにいるの?



・・・・・・・・・・・・


私は神野恵(かみのめぐみ)。

28歳独身。派遣で事務の仕事をしている。

彼氏はいないけど全然気にしない。

アイドルの追っかけと乙女ゲームが趣味。

だって、その辺の男よりもかっこいいし、私だけに尽くしてくれるから。

平日の夜は乙女ゲーム。休日はアイドルの追っかけと忙しい日々を送っている。


親からは呆れられているけど気にしない。

だって、これが私なんだもん。


「恵ちゃん、恵ちゃん」

その日もいつも通り仕事からの帰り道、誰かが私を呼ぶ声が聞こえてきた。

今日は16時までの出勤だったので、辺りはまだ明るい。

呼ばれた方を振り返っても、周囲を見回しても誰もそれっぽい人はいない。

気のせいかな。そうに違いない。

声を無視して帰ろうとすると、


「恵ちゃん、あっち、交差点の方。」

今度は場所まで指定してくるのだ。


一体私に何の用よ?

今日は、アレクセイ様(乙女ゲームの攻略キャラ)を攻略できるかどうかの瀬戸際なのよ!


大通りに面した交差点に到着すると、赤信号待ちでスーツ姿の男性や子供を後ろに乗せた奥様たちが信号を待っている。

大学生風の若いカップルが手をつなぎながら、自分たちの世界を楽しんでいるようだ。

周りを見回してもそれっぽい人はいない。


もー何なのよ。

私の貴重なアレクセイ様との時間を邪魔しないでよね。


帰ろうと信号に背を向けた瞬間、私は誰かに強い力で手を引っ張られた。


・・・えっ、誰?私はそんなに安い女じゃないわよ!


車がビュンビュン通る横断歩道を私は、姿の見えない誰かに手を引っ張られて渡っている。


・・・ちょっと、まじ!?やめてよ。危ないじゃない。


「危ないぞ、引き返せ!」

「何やってんだ!」


男の怒鳴り声が私に向けて飛び交った。

でも私にはどうすることもできない。


その時、一台のトラックが私を目がけて突っ込んできた!


・・・えっ、うそ!?


トラックはぐんぐんスピードを上げて迫ってくる。


・・・えっ、やだこのトラック。運転席に誰も乗ってないじゃない!


ベイン!


トラックに正面衝突した私。

くるくる回転しながら、地面に激突した。


「もー、いったいなぁ。何で誰も乗ってないのよ!」


トラックにぶつかりながらも、ケロッと立ち上がる私。

そう、私は昔から体が強い。

今まで何度も危険な目にあったが、いつも助かってきたのだ。


ベイン!


今度は反対車線で別の車に跳ね飛ばされる私。

地面に叩きつけられたが、すぐにむくっと頭を起こした。


「何で生きてるんだ。」

「すごいぞあんた!」


信号を待つ人たちから大きな拍手が沸き起こる。


・・・いやいや、拍手じゃなくてそこは助けてくれるところでしょ!


信号が青になると、1人の男の子が倒れている私に向かって駆けつけてきた。

「大丈夫ですか~!」


・・・そうそうこれよ、これ。この子は分かってるわ。


私に走って駆け寄る彼、その時私はあることに気が付いた。

彼が走ってくる方向にバナナの皮が落ちているのだ。

これってベタな展開?まさかね。


ところがそのまさかが起こった。

走ってきた彼はそのバナナの皮に足を滑らせて、倒れている私に飛び込んできたのだ。


ちょっとそれはベタすぎるでしょ!


バナナで滑って転んだ彼の顔が私に迫ってくる。


あっ、ちょっとタイプ♡


ゴチン

それがとどめだった。

彼の頭と私の頭が見事にぶつかったのだ。


私はそのまま意識を失った。


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