第30回「2000文字以内でお題に挑戦!」企画(619文字)
ある宇宙の物語
「神様ー、神様ーー。大変、大変ですーーー」
天の川の神様のところへ見習い小僧ならぬ小神様が駆け込んできました。
小神様を見て神様はため息をつきました。
三連休の家族サービスの疲れが残り月曜日に仕事に身が入らなかった神様は、昨日の分も合わせて今日頑張らなければいけませんでした。
「落ち着いて、何があったのじゃ」
仕事が増えないといいと思っていた神様に対して、小神様はとんでもないことを叫びます。
「天の川から星が漏れていますーーー」
「なにー⁉」
想像をすることさえ出来なかった大事件に、神様は大慌てで執務室から出ていきます。
小神様の案内で天の川が見える場所まで来ると、天の川の流れが途中から二つに分かれているのが見えます。
細い方の流れは少しいくと消えてしまいます。
何かが星の流れを飲みこんでいるようです。
「あれはブラックホール? なぜあんなところに」
ブラックホールの神様と連絡を取ろうとしても取れません。
まさかすでに……。
時間が経つにつれ、事態は深刻になっていきます。
他の星も飲みこまれ始めたのです。
他の星の神様たちも集まって何とかしようとしますが、どうにもなりません。
『天の川の火曜日』
そう呼ばれ後世にも語り継がれるほどの大事件でしたが、覚えている者は誰もいません。
ブラックホールは星だけでなく、神様もすべて飲みこんでしまったからです。
新しい宇宙を創る神様はこの事件を知っているのかもしれませんが、自分の仕事が忙しすぎて思い出すことはありませんでした。
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