20
テルキが寝ている隙をついて、ジュンはそっと近づいて、彼のポケットからライターを盗んだ。そして彼が昼間に天日干ししていた魚の干物を、遭難していた時に身につけていたカラフルなリュックに詰め込んだ。
持てる分だけリュックに詰め込むと、ジュンは魚の干物を口に一匹くわえて一気に逃走した。
「ハハハハハハッ!テルキのヤー公め、ザマァーミロ!」
「ざまぁ味噌漬けたくわんポリポリだ!」
「くぁー、干物うんめぇ~~っ!!」
ジュンは口にくわえた魚を手で噛みちぎると、勝ち誇った笑い声をあげてバタバタと走った。
もうそこには理性なんてものは存在しなかった。ただ、正気の臨界点はすでに越えていた。
バタバタと走って逃走すると、足下にヒモが絡まった。その瞬間、バタンと倒れると、貝殻がジャラジャラと鳴り出した。そしてテルキが仕掛けたサウンドトラップが作動した。
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