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「ナイスホームラン! ハハ、やっぱお前って奴はホントバカだな! これで蜂蜜を食べれるってもんよ。あんがとな〜ご協力感謝感謝!」


 彼はそう言うと、蜂の巣を両手に持って颯爽と消えて行った。ジュンは下でピクピクと体を痙攣させながら泡を吹いた。そして、ハッと目を覚ました。


『も〜! ひどいよテルキ君っつ!!』


ジュンは目を覚ますと、思いっきり訴えた。だがすでにそこには彼の姿はなかった。


「え? あれ? テルキ君??」


 彼の姿はいなかったが、別のものがジュンの目の前に現れた。それは蜂の大群だった。突然巣を襲われて、そのうえ巣を略奪されて、蜂達は怒り心頭だった。ジュン周りを飛び交うと一斉に攻撃してきた。


『えっ? わっわっ、ちょっ!!』


『ひぇ〜〜〜〜〜ッ!! ごっ、ごめんなさい! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!! 蜂さん襲わないで〜! 悪いのは僕じゃなくて、テルキ君何だってば〜っ!!』


 ジュンは蜂達の怒りを買うと全力疾走で逃げた。一方テルキはジュンを利用してまんまと蜂蜜をゲットしたのだった。こうして二人の仁義無き戦いは更に加速していた――。

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