14
――仁義なき戦いの火蓋が切って落とされてたから、二人は別々行動を取るようになった。サバイバル生活にに慣れてきたテルキとは、打って変わって、ジュンは未だに慣れずにいた。
何をしても鈍臭く、なかなか思うように上手くいかなかった。そんな中、ジュンは苦手な木登りを頑張って訓練して登れるようになった。そして見事に果物をゲットした。
その姿は野生の猿のように段々と俊敏になってきた。その日も食べ物を探しにフラフラと森の中で彷徨っているとヤシの木を見つけた。ジュンは下から見下ろしながらラッキーと言って指を鳴らすと、下から上に向かってよじ登った。
『ふぬぬぬぬぬっ!!』
短い腕を思いっきり伸ばしてヤシの実を取ろうとした。あとちょっとで取れそうな所でいきなり下からテルキに声をかけられた。
「よ〜! ジュン!」
「ほえ?」
上から下を見上げると彼がいた。
「じゅ~んく〜ん! あーそーぼ♡」
テルキはニヤニヤした顔で、そう言ってきた。
見た感じから嫌な予感しかしなかった。彼の笑顔が悪意にしか感じ無かった。ジュンは『遊ぼう』と誘われると一瞬、躊躇った。
「……何しに来たの? お互いに『別行動』って言ったよね?」
「ん〜? ああ、ちょっとな」
《ジー。》
何だか、すっごく怪しい……。
「ボク今、ヤシの実を取ってるから忙しいの。後にして!」
そう言って断わると、目の前にあるヤシの実をゲットした。
「わ~い、やった〜♡」
木の上で喜んでいると、テルキが下でボソっと呟いた。
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