カードバトル/DDT〜ダブルディティー

kiriー

0turn

「ここは?…」

 気がつくと天流寺総駕は殺風景な、真っ白な空間に立っていた。

こうなると上も下も分からなくなって気持ち悪くなって来る。


 部活から帰ってきた俺は、疲れてベッドで寝ていたのだが、ほっぺをつねると痛いことから

「夢じゃないな」。


辺りを見回しても、"白"

ひたすらに白だけが広がる。


 すると唐突に後ろからまるで何かに声がこもって反響する声が聞こえてくる…

「気がつきましたか?」


 話しかけて来たのは、ピエロの仮面を着用し、タキシードにシルクハット、まるで道化師の様な男が立っていた。

「あんたは、、誰だ⁈」

 男に質問をした、ふざけた見た目をしたこの男をみたら、誰しも警戒心を抱くはずだ。


 質問に対して男は首を傾げてから、はっとした様子でわざとらしくポッんと手をうち、片手でシルクハットを取り、頭を下げる

「申し遅れました、天流寺 総駕様!…」。


 道化師の様な男は俺の名を知っていた、動揺が隠せない。

そして同時に疑問が二つ浮かび咄嗟に口に出しそうになり掛けたが冷静になり様子を伺う。


「私目は、パラパラと申します以後お見知り置きを総駕様…」

 パラパラと名乗る道化師の様な男は仮面越しだが確かにニタァッと笑った気がした、まるで俺の心の中を見透かしたかのように。


動揺を殺しながらパラパラに二つ質問をする事にした、

だがパラパラは俺の心の内を知っているかのようで

「総駕様は二つの疑問をお抱えのようですね?

心配せずともお答え差し上げましょう、まず一つ!

自分はなぜここに居るのか?」


驚愕した、このパラパラと言う名の謎の男に…

この男の仮面の下から除く眼光はまるで全てが見えていると語っている。

頷くとパラパラは話しを続ける

「選ばれたのですよ…総駕様は」


「選…ばれた?」

 総駕の特徴と言えば…顔立ちは普通だけど、パステルピーチの髪色に髪型はストレートでサイドが所々跳ねてるのが特徴だろうか。


そんな総駕だが何かに選ばれる節が特に見当たらない。


「ええ…とあるゲームのテストプレイヤーとしてね… と、

まぁこの様にしてテストプレイヤーを集めたので、 二つ目の疑問の総駕様の情報、経歴も把握済みで…ス」

ージジジジー


突如パラパラの体が歪み始めた、例えるなら今は映らないアナログテレビの様に。

「ちょっと待てよ!全ッ然話がつかめねぇよ!…ッオイ

聞いてんのかよ」

ジジジジ、ジー


雑音と共に突如パラパラの姿は消えたが、その直後突然と視界が光に包まれた--

「ッ⁈一体何だ何が起こってる…」


・・・


「今度は何処なんだ…!」

 総駕はハッとした、パラパラと言う名の謎の男に出会い突如謎の光に包まれ今に至る事を思い出す。


「、、マジ、かよ…」 

目前には先程とは打って変わり人が何百!いや何千⁉︎

それ以上もの人が白い空間に集まっていた…!!。


ざわざわと会話をする者もいれば、

辺りをキョロキョロと見渡す者、ガムを噛みながら腕を組み俯く者、スマホをいじりながら焦るものまで人其々。


ーズッ…

 突然頭上に一本の黒いスジが入る

それと同時にほぼ全員が、息を飲む。

ーズッーーズガガガガ

…ビジュン__

頭上に広がる巨大な黒い画面のモニター

皆が皆その画面を食い入る様に見る。


そしてその直後に人らしき影が移りやがて鮮明になる…

現れたのはパラパラだ。


「皆様こんにちは、会うのは二回目でしょうか?中には始めて会うお方も居るかも知れませんね?…そこのお嬢さんは始めてのこんにちはかな、ではでは本題に入りますよ?」。


 パラパラが画面に映り一区切り着いた時ざわつきが起きた

その集団の一人がパラパラに対して異を唱える。


「テメーは一体何なんだよ?消えたと思えばぬけぬけと現れやがって早く帰らせやがれ」

…ざわつきがさらに増した

『そうだふざけんな

帰らせろ!

帰らせろ!

 帰らせろ!

帰らせろ!』

ざわつきの集団が反旗を翻すかのようにして規模を拡大させてゆく。

 

パラパラは少し困った素振りを見せるがすぐに何かを考えたのか…咳払いをする。

…パラパラは再び話しを再開しはじめる

「落ち着いたらどうかね…今、君達の身柄を預かって居るのは私だ。と言う事はつまりはどうなるか少し考えれば分かるんじゃ無いか?」

パラパラが静かに威圧感を与えるかの様に話すにつれざわつきが収まり始める。


「ふぅ…では、まず皆様に集まって頂いたワケですが

Dimension Destroys time…通称DDT。

これは我々が考えたカードゲーム」


「皆様の中には分からない方も少なく無いでしょうから、

解りやすく言うならトランプの延長線上のゲームです。

トランプならご存知でしょう?皆様に集まってもらったのはゲームのテストプレイヤーとして集まって頂きました」。


 パラパラがシルクハットの位置を直す間に、静かに立つ金髪、

逆髪の男は、サングラス越しからモニターに注意を始めて注いだ。テストプレイヤーと言う言葉を聞いた途端に態度が少しばかりか変わった。


「集まって貰ったのは総勢…4億人、、!!」

4億⁉︎俺を含めほとんどの集められた人々は驚愕した、

中には世界人口の約18分の1などと口に出した者もいた…。

18分の1…凄い人の数だ…

「一体どうやって4億人もの人を集めた…。

ただのゲームじゃ無さそうだ」

俺は疑問で仕方なかった。


「4億人もの方々に集まってもらったのには別に深いワケはありません…"我々"は貴方方をこの平行世界、言わばパラレルワールドでテストプレイをして頂こうと思っております…」。


 平行世界、パラレルワールド…だって??

聞いた事があるが、実在したのか…

同じ時間を流れるもう一つの反転世界。



「おいどうゆう事だよ」

一人の短気な若い男はパラパラを睨む様に質問をする。


「パラレルワールド…それ以外に説明する事はありませんね。

次に」

短気な男の質問はさらりと受け流されパラパラは説明を続ける

「DDTについてですが…ここに集められた方々は

カードゲームをプレイされて"CSなどの大きな大会で良い戦績を収めた方から、そうでは無い全くと言ってカードをプレイした事が無い方まで十人十色ですね…」

CSとは数百人集まるような大規模なカードゲームの大会。


そこで話しを割るようして数人の男たちが前に出る

「ディザスターさん!僕達が呼ばれたのってこれのようだね」

3人の男の内の1人がディザスターなる男にそそっかしく話しかける。


「おい慶次、、あんまはしゃぐな!目立つだろ」

もう1人の黒髪の鋭い眼光を持つ男伊達が慶次に腕を掴まれ、前に連れられた。


そしてもう1人、ディザスターとはさきほどまで静かに立たずんでいた金髪、逆髪の男だった、そしてディザスターなる男が口を開く

「…そのDDTとやらだが、ルールを教えてもらおうか」。

サングラス越しからモニターを見据えるディザスターをパラパラは不思議そうに首傾げながら見降ろす。


「ほう…貴方はギネスブックにも指定されているTCGのCSなどで何度も上位に名を挙げている…ハンドルネーム"ディザスター"その名に相応しく災害の如く大会に現れ、その世界では名が馳せているとか」。


 俺も聞いた事がある、ディザスター…毎回オリジナリティを貫きデザイナーデッキを唯一使用し、毎回TCGの環境をも左右するプレイヤー。


「ルールは他のゲームとあまり似つかないでしょう、ですが今までのゲームでの経験は多少は活かされるのでは無いかと思い私は貴方の様な方々を集めました」


「ですが…無経験の方でも、このゲームは大差無くプレイ出来るばずです。何故ならみんなDDTは初心者そのため無経験の方も多く集めました」。

「…そうか、それだけ聞ければ充分だ」。

パラパラはディザスターを見降ろす、ディザスターはパラパラを一度目で流すように観ると 、背を向け、人混みへ戻って行く。

俺もTCGはよく遊んでいるがこのゲームは見てもいないが、異質な気配を感じる。


パラパラは再度話し始める

「この部屋は、あと数分もすれば奥の扉が開きます、この他にもこの部屋と同じように部屋がいくつか有ります、数分後に貴方方と同じようにこのパラレルワールドに4億もの人々が生活するでしょう」。


「…ですが…テストプレイがされず仕舞いになる可能性も有りますね。それでは話に成りません、なので、4日!4日以内にテストプレイに参加しない方々は強制的にドロップ扱いになります。あと…言い忘れて居ましたがゲームに負けてもドロップ、敗退扱いですよ」

 ここでまたざわつき始める、

そして人混みの中、か細い声で尋ねる青年が一人いた。

「負けると…敗退すると

ど、ど、ど、どうなるんですか」

青白い顔をしながら尋ねる青年に対して、パラパラは頭の後ろをぽりぽりかきながら不気味に答える

「さぁ〜どうなるんでしょうねぇ〜フフフ 。

貴方方には後ほど一人一人支給品をお渡しします、そして、一回戦をこれより行ない、そうですね…テストプレイヤーが二億人になるまで戦って貰います」。


「二億人敗退するまでどうか頑張って下さい…追尾でこの世界であらゆる暴力行為は禁止されておりますので悪しからず、

では皆様のご健闘を期待して居ります…」

プチんと頭上のモニターは消えると同時に、この白い部屋の空気が一気に重たくなったのを感じた。


「敗退したら…一体…どうなるんだ」

 俺たちは戦う事を強いられた…。

DDTと言うなの未知のカードゲームのプレイヤーとして… 。

そして、この世界と敗退したらどうなるのか分からない恐怖で人が人との警戒を強めたまま、扉は開かれ、部屋の外に皆、ゆっくりとした足取りで向かうのだった。

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