ミク
わたしはミク。
ママはマッチャマの街で呉服屋さんをやっているナオミン。
そして、もう1人のママは、小学校の先生をやっている、あやめっち。
わたしはマッチャマの幼稚園に通っている。
日曜日、マッチャマ美術館に向かって2人のママといっしょに歩いていた。
空を見上げたら、ビュンビュンと、いくつもの飛車、飛んでいる。飛車...つまり、空飛ぶ車。
2人のママも、空を見上げて
「うわ~!こりゃまた派手にビュンビュン飛ばしてるな~」
って言っている。
そしたら、横に赤ちゃんを抱っこしたママさんも歩いていて
「うちらのいた時代には、まだ、こんなにビュンビュン空飛ぶ車、飛ばしては、いなかったですからね~」
って、話しかけてきた。
「ほんとですよね~。車は、まだ空はちょっとしか飛んでなかったですからねっ。自転車で空を飛んでましたけど...」
ってママも答えていた。
「わたしらの頃には、背中の羽で、自分で空を飛べてましたけどね...」
「そうですよね~」
「えっ?...てことは、あなたも、何百年か前の時代から、今の時代に来たってことですか?」
って、うちのママは、赤ちゃんを抱っこしたママさんに聞いていた。
「そうなんです」
って、ママさんは答えていた。
そのママさんも背中に、きれいな羽を持っている。
わたしのママたちにも、背中に、めっちゃきれいな羽、生えている。
「ミクにも、もしかしたら、そのうち、可愛い羽、生えてくるかもねっ」
ってママは、わたしに言っている。
今の世界には、いろんな時代の人々、同時に存在している。
ママさんと別れて、マッチャマ美術館にママたちといっしょに行った。
美術館に入ったら
「香絵ちゃん、おひさしぶり~」
って、あやめっちママは、学芸員の香絵ちゃんに言っていた。
「あら?あやめっちやないの~。おひさしぶりやね~」
「ほんまやね~」
「ナオミンも、こんにちは~」
「こんにちは~」
「ミクちゃん、いくつになったの?」
「4つだよ~」
「もう4つなのか~」
「幼稚園だよ~」
「もう幼稚園に行ってるのね~」
「そうだよ~」
そのあと、美術館で絵を観てまわっていた。
「あーっ!ミユちゃんだーっ!」
マッチャマのお城のミユちゃんも、美術館に来て、絵を観ていた。
ミユちゃんも、わたしに気付いて
「あーっ!ミクちゃんも来てたのかあ」
って言って、わたしのところに走って来た。
ユーリ姫もいっしょだ。
あやめっちとナオミンとユーリ姫は、3人で
「こんにちは~」
って、あいさつしていた。
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