第50話・ドワーフの国・鉱国ガルド

 岩の障害物をどけながら、再度道に積むドワーフ達。こうして道は隠されていたらしい。


「お前達みたいに岩の破壊を試す輩が出始めたのなら、いずれは分かったルートだろうな」


「おおすげえ」


「アッシュよ、我が国に来たら、まずはなにをする?」


「拠点となる簡単な場所を手に入れたら、テーブルや硝子細工。農家として野菜や果物を売りに出そうと。鍛冶としては特殊インゴットの品物を卸すくらいです」


「お主の武器を見れば、品質の良い鉄鉱石から作っているな。我が国の鉱物ダンジョンの鉄鉱石でインゴットを作れば、良い物が買えるな。武器はどうする?」


「武器や防具は売りたいですが、まだ上位鍛冶スキルを取ったばかり、そうそう売れるかどうか」


「そうだな。だがノコギリやハンマーなら売れるだろう。まずはそれを試すと良い」


 そんな話を聞きながら、今度は国について尋ねた。


「我がダンジョンは二つあり、一つは鉱物ダンジョン。レベルが高く、凶悪なモンスターが現れるが、浅い階層でミスリルが手に入る。時たまにアロンダイトも手に入るほどじゃ」


「本当か!?アロンダイト製の装備は欲しいぜ」


「同胞らしい考え方だ。手に入れられる問題ない。最近魔物も強くなり、奥に進むのは難航している。露払いすれば取れる物は持って行っても良いぞ」


「なら仲間を呼んで、根こそぎもらってやるぜ」


「ガッハハ、それくらいの意気込みなら安心だ。もう一つは山で、こちらは本格的に強力なモンスターが根城にしている。国の守りに兵を割いているから、対処できん」


「どんなモンスターですか?」


「幻獣種で強いとされる種族。ドラゴンじゃ、一角竜という種族が住み着いている」


「オークションで出ましたね」


「ありゃ儂らが流したもんだな。知能が低く凶暴性が高い、定番な凶悪なドラゴンだ。偽者扱いされているがかなり強いぞ」


「竜に偽者や本物がいるんですか?」


「本物は知能が高く、人の姿を取れる知性的な種族だからな。ネームドやボスとして地方を守ったりする」


 こうして話を聞きながら国へと招かれて、行動するために動き始める。


「まずはお主達だけでどんな方法を使っても良いが、500万エン稼いでみよ。そうすれば岩で隠すのをやめて、他の冒険者も招き入れよう」


「うへっ、それは大変そうだぜ」


「安心せい、ダンジョンは両方とも入れる許可を出すし、自力で岩を突破したものも同じ条件に組み込もう。まずは我が国の財を潤すことをしてみよ」


 こうしてやる事を決めて、簡単なホームを紹介された。まずホームを買う事は許されないが、転移門とセーフエリアとして登録、リスポーン地に設定できるホームを借りられた。


「んじゃ、妖精の生産地、全力で売りに出ようか」


「オレは鉱物ダンジョンを回ってみるよ。まあさすがに死に戻りはしそうだけど」


「私は情報集める。なにが欲しいか分かれば手助けできるもん」


「俺はいつものように育てて作って、売り払うだな。なにが売れるか楽しみだ」


 こうして行動を初め、スキルなどのレベル上げに努めるのであった。


 ◇◆◇◆◇


 ガルド国では塩と小麦が売れ行きが良く、果物が人気だな。飼料も人気で、品質の高いミルクが手に入る。牛も水牛と言う種族であったり少し違う。


 売ったりして手に入れた資金で買い物をして、ドワーフの国を宣伝する。使者の人が結果を話してくれるから、目に見えて結果が出る。


「ふむ、もう少し果物系を育てるか。飼料はドワーフ国の名産である牛のミルクとかに変換できてるみたいだな」


「鉱物ダンジョンはソロはキツイや。けどミスリル一個手に入れたぜ。品質は秋んとこより一つ上くらい。後は数と奥でどれくらい品質上がるかだな」


「果物はパイナップルとか、夏の里で手に入るものは手に入るみたい。塩と小麦は珍しい。ジュースとお酒が欲しいって人がいたよ」


「なるほど」


 畑を転移門で繋いで、うまく育てなければいけない。以外とワイングラスなども売れている。ヒカリとクリア特製の硝子細工だ。


 一応、岩の道は討伐隊のメンバーが試したがかなりきつく、通るのに時間が掛かるらしい。


「ダメだな。場所は多いし、しばらく放っておくとドワーフが新しく塞ぐから、アッシュの品物が鍵だな。俺も売店手伝うよ」


「うん、それじゃ物を売って稼ぐとしよう」


 こうして方向性を決めて頑張っていると、上級スキルが4レベルまで上がる。戦闘の方もヒビキと共にフルパーティで出向けば一階層は進めた。


「輝夜回復、シンクとナイトは前衛、タロウは水晶弾でけん制して」


「りょうかい~」


「なのじゃー」


 こうして進んでいるとアロンダイト、鋼鉱石が手に入る。


「こうこうせきって呼んで、鋼鉱石か。重い」


「品質は★3だな。けど新素材だからデータは欲しいな。どうしよう」


 ユニークスキルを使い鍛えるか、レベルの高い鍛冶師に頼んで装備にするか。


「いや、できれば俺の経験値にしたいから、まずはノーマルで鍛えて、データが欲しいかな」


「分かった。いいぜそれで」


 そう決めて、アロンダイトを一個使い、大盾を用意した。


『アロンダイト・シールド』


 そう名前が付いた品質は★4、耐久値、防御力は高く、これで低いと鍛冶師のドワーフは言う。


「結構破格の性能なのに」


「まだまだじゃよ。本来の性能はもう少し上じゃ」


「しかし、歌唱魔法を使いながら鍛冶をするか。なかなかええのう。せっかくだから、ドワーフ国に伝わる国歌を教えてやろう」


「んだな。もしかしたら歌唱魔法かもしれん」


 こうして新たに歌唱魔法を教えてもらう。すると光り輝き、発掘の歌、鍛冶師の歌、ガルド国の歌が鳴り響く。


「なんだ?」


 それが一つになり『蒼天天晴そうてんあっぱれソング』と言う歌になった。


「おおっ、歌唱魔法が生まれた」


 発掘と鍛冶の効力を上げてくれる。その演奏を聞いたドワーフ達は気に入り、歌いだしながら仕事をするようになった。


「できれば大盾作る前にして欲しかったぜ」


「まあまあ、とりあえずミスリルで釘とか作って、経験値を稼ぐか。あとは大盾、これはどうしようか」


「秋の里で頑張った奴にあげたら?」


「あっ、いいかも。あの人のおかげで第二陣も助かった人もいたし、一番頑張ったからな」


 そう決めて、ヒビキが渡しに出向き、俺達は他の歌も繋がって凄い効果を出すかもしれない。歌唱魔法について調べる事にした。

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