新たな国と世界樹神話
第47話・世界樹の神話
商人として活動だが、俺達や普通のプレイヤーはのんびりしている。ただ、トップ勢に入る廃人、ガチ、攻略勢はピリピリしている。
理由は詳しく調べたら『攻略最前線』、例の攻略サイト経営しているギルドのプレイヤーは末端や個人で動くだけで、大元がどこにもいない。たぶん、エルフの国にいると思われてプレイヤーが探している。
俺にも情報を求められたが、モードレッド様は難しい顔で教えてはくれなかった。自力で見つけるかしないといけないのだろう。
「たぶん、NPC的に俺達が一纏めだから、自分達が教えたらエルフの国に睨まれるから言えないんだろうね」
「まあ、行ったところでGМコールとかするしかないからな」
ジークフリード、ルーン、ヒビキが詳しい話をしてくれて、ここの守りもしっかりした方が良いと話してくれた。卵所有者のところに現れているらしい。ちなみにマシロの卵らしき卵だが、マシロの卵で間違いないとのこと。穴が開くほど動画を見た人曰くらしい。
「ここは俺達が守ってるから、他の人の元に散ってるけど」
「彼奴らの迷惑行為は止まらないからな」
俺は従魔達の様子を見る。卵を見守り、交代交代で様子を見る。
「むっふーん♪大きくなるのじゃ」
「見るのー」
「がんばれー」
「聖域復興も俺の手から離れてるし、俺はしばらく育ててるだけかな? 後は廃坑山探索くらい」
「ああ、廃坑山と白亜の城と繋がってるらしいよ」
「あれそう?そうなると、特殊貴金属が全種類か調べる?」
「もう全種類出たみたいだぜ。ソースは全種類のインゴット集めを終えたプレイヤー」
「なら三大鉱石探しと楽器作りに世界樹かな?」
どちらもまずは薔薇姫さんやモードレッド様の下で調べものの許可や図書館が無いか聞くくらいか。楽器の方も作り方が分からないとヒカリは言っていたからな。
「王都の図書館か、王城にあるのは誰も知らないな」
「許可が下りたら内容も公開するよ。ミスリルは秋や夏の聖域で手に入ること分かったしね」
センチョさんが魔法武器の事を知って、魔法ダメは防御力を貫通するから、欲しいなと防具にするか悩んでいた。結局ミスリルを元に【魔器作成】で強力な防具にさせてもらったよ。
話し合いを終えて、ヒビキがせっかくだから顔つなぎできるか試してみようと付いてくることに、シープも気になり、彼女達とタロウ、シンク、ヒカリを連れて会いに行くことにした。
◇◆◇◆◇
パーティを組み、アポを取って見ると、今回はすぐに通され、会う事は無かったが要件を伝えると図書室へと通された。ヒビキやシープもいる。
「んーこれ考えると、アッシュは相当好感度が高いな。オレらですら騎士隊の人に顔を覚えてもらったくらいだから」
「どれくらい活躍して?」
「ほぼエリアボス討伐だなオレらは。数が多くて、何度も周回してるジークフリードとかには無かったし、王国住人相手にクエストしてるルーンもそれくらい」
だけどルーンは教会のお偉いさんとコネクションがあるらしい。強力な装備を作る為に周回しているジークフリードはボスやネームド周回、強いエネミー討伐や対峙する討伐隊。住人との触れあいを忘れないワルキューレとなる。
「攻略スピードは速いけど、実力は天秤が上だな。この前のオークションでも武器買ってたし」
こうして部屋に通された俺達は静かに情報を探す事にする。基本は世界樹と三大鉱石、次にエルフの国に関するもの。
別れたりして本を読んでいる。レシピ本や卵を手に入れる方法が書かれた物があった。
「魔物の卵は、魔神の加護が無ければ生まれない。魔神は妖怪、幻獣、精霊、不死、悪魔、天使に加護を与える神か」
別の種族の間に生まれる子供は魔神が特別に加護を与えたから生まれるのであって普通は生まれない。
テイムモンスターは魔神の手から離れたと言う意味があるため、テイムモンスターは主が魔神に気に入られ無い限り、卵を授かることはない。
「セツナとかどうなるんだろう? 彼奴白銀狼の後継者的なものじゃないのか?」
魔神は女の子で、魔国と言うところで崇拝されている。一応内容は従魔スレに話しておこう。
「おーい、世界樹に関する書物有ったぞ」
「おっ、本当?」
◇◆◇◆◇
世界樹とは世界に根を張る大樹。大昔、神々が各々が好きな種族ばかりに構っていた頃、戦神の元にいた人間達が大地は自分達の物だと言って、世界樹を手に入れようとした。
それに激怒した春の女神は怒り、魔神を唆して戦神と争いをさせる。
『世界樹の果物はこの世の物とは思えないくらいおいしいんです~♪もしもバカから守ってくれたら好きなだけ食べて良いですよ~♪』
『………』
『お花も綺麗で、美味しい蜜が取れて、毎日甘味三昧です♪』
『………おk』
こうして魔神が戦神と喧嘩を始めました。ただし本人達は争うなと他の神々から言われ、悪魔と人間が争う形に。
天使は静観しました。親である創造神が静観していたからです。
ですが、突然創造神は雷の槍を構えました。天使達は争いを止める為についに動くのかと、武器を構えました。
雷の槍が狙ったのは戦神です。なんということでしょう、戦神は世界樹を盗られるくらいならと、切り落とそうとしたのです。
元々お前の物では無い。世界の物を傷つけようとした戦神に一撃を放ち、一時的に殺害しました。
ですがその意思を継いだかのように、道具を受け取った人間の王達が我が物にするために切り落とす。
春の女神は我が身を引き裂かれたように悲鳴を上げました。世界樹は彼女の子供のようなものです。怒り狂い樹が切られ、瘴気が誕生して大地に住まう者達も狂いだし、災いをばらまきます。
魔神は言いました『春の女神、大地の女神の怒りは凄まじい。もはや他者に無差別に襲い掛かるものは我が信仰は無い』。こうして魔物は生まれたのです。
それでも人間の王は図太く、それを加工した樹の箱を作り出し、春の女神をこの中に封印しようと目論みました。
『怒り狂った女神をこの中に封印し、瘴気を浄化するのだ』
根の葉も無い根拠でそう言い放ち、他の神々も動きだします。
秋と冬の女神が怒り狂う春を眠らせる為に、その権能を強めて眠らし、夏の神を初めとした他の神が、戦神に責任を取るように囲み出しました。
創造神は戦神の姿かたちを一時的に春の女神、狂い出した神へと姿を変えさせました。
『いたぞ、全ての元凶だ!?』
木箱の中に封じ込められる戦神は言います。『お前ら人間も同罪だッ!呪いあれ!』
こうして木箱は創造神がどこぞに隠し、人間の罪は瘴気によって生まれた魔物との永遠の闘争を告げられた。
怒りが収まり、悲しみに暮れる春の女神は涙を流します。
世界樹は春の女神が育てたものではなく、人が育てたもの。神の手では生み出すことはできません。
女神はまた世界樹が生まれるよう、切り落とした人間が再生させてくれると信じて、世界樹の実を人間へと渡したのです。
これを読み終えた俺の感想は、戦神とそれに唆された人間って酷いなと思った。
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