第28話・シープを取り巻く環境
シープちゃんはアッシュさんなら信用できるし、好きにさせてもらえるのなら入りたいと言って、ここに引きこもる準備をする。
まず冒険者ギルドにギルド申請する。名前を登録して、準備を終えたらギルドに入る手続をシープちゃんがする。これで俺のホームを好きに使用できるし、自由に行き来できる。ホームは中に招かないと立ち入り禁止区域だからね。これだけで安全地帯を作れる。
関係者に連絡して助かると言われ、ルーンさんから連絡が来た。
『ただいま馬鹿どもの掃除しています。お手数をおかけしますがシープをよろしくお願いします』
「『いえいえ。こちらも引き抜きのようなことしてしまい申し訳ありません。とりあえずギルド方針は俺が農業を、シープちゃんは服飾をする流れになります。名前は『妖精の生産地』と言う名前です』っと」
妖精の生産地の手続きを終えて、シープちゃんは羊二頭と共に転がり込んだ。イベント報酬は羊に王都の畑を拡大などしたらしい。
ギルド会員になったから、この前の取引代を返そうかと言ったがそれは良いらしく、とりあえず部屋をもらい、作業部屋を使うとのこと。
「品質が上がりそう、ありがとうアッシュさん」
「別にいいよ。しばらくはここに引きこもると良い。ここのことは知っているのは少ないんでしょ?」
「うん。信頼できる人以外には内緒にしてる」
いま受け持っている仕事以外、しばらくは研究に回すとのこと。野菜の収穫だけなら大地の賛歌は必要無いからそれをお願いして、好きに使わせよう。
従魔達も喜ぶ中、ルーンさん達は大丈夫だろうか?
「少し心配」
シープちゃんもそういう。なんでもハラスメントコードに引っかかりそうなことはされていないが、本当にしつこい勧誘されて、中には意地悪もされたらしい。
それを知ったルーンは日本語を忘れるくらい激怒して、他のメンバーと共に王都で暴れている。
「うん、しばらく隠れていると良い。いざとなれば良いところを紹介するよ」
まだジーク達ですら話していない、冬の隠れ家のことを話して目を輝かせる。ただ行き来はしているが、プレイヤーは連れて行っていない為、確認しないといけない。
「時間ができたら案内してください」
「分かったよ。俺は鍛冶場で作業入るから、好きに過ごすと良い」
「はい、お世話になります」
こうしてゆっくりギルド活動が始まる。もしかしたら問題解決後解散するかもしれないがそれでもいい。
「さてと」
掲示板とか見てみたがホント酷い。シープちゃんの隠しスクショをさらして探している。
良心のある人は運営に削除依頼を出しているようだから問題ないが、最悪隠れ家として別荘を提供するつもりだ。
「嫌な騒がしさだな。早く終わると良いけど」
そう思いながら、俺は太刀を作る為の作業に入る。忙しくなるぞ。
………
……
…
鍜治場は一通りの道具が揃い、高い高炉がある。早速実験をしよう。
「ナイト、影の領域を頼む」
「(コクコク)」
影の領域を使い、高炉を囲む。漆黒に染まり、暗闇の高炉になった。
「影の力が宿ったぞ」
漆黒シリーズを作れるようになり、品質も上がった。
これで太刀を作ろう、攻撃力もダントツだしね。量も必要だが、かなり集中する。歌いながらは難しいな。
何度か試したところ、ようやく良い性能の太刀ができた。
「『漆黒の太刀』。見た感じ夜の時間帯になると攻撃力が強化される。昼間はまあまあの性能だな」
この調子だと火の力を宿す高炉もありそうだ。おそらくそれが一番攻撃力が高いのだろう。漆黒シリーズは夜限定で高いって感じかな?
「シンクの武器ができたぞ~」
「なのじゃー」
シンクが嬉しそうに太刀を装備して、むっふーん♪と得意げになる。
ステータスを確認すると太刀術が生えている。相性はよかったようだ。
◇◆◇◆◇
シープは水魔法スキルと風魔法スキルの魔法使いだ。前衛で固めて、カーストレントをまず倒す事にした。
「トドメなのじゃ!!」
シンクがトドメを刺して、カーストレント戦を終えた後、水妖精の住処へ出向き、シープは新しいフィールドに驚く。
「綺麗なところ」
「そうだね。ホームのある場所があるから、好きにすると良いよ。最悪そこで活動することになるかもだしね」
「うん。ここならしばらくはプレイヤーに見つからないと思う。ありがとう」
「ただこの先フィールドは俺ぐらいは一戦くらい、たぶん王都周辺のプレイヤーが苦戦するレベルだから、気を付けないと」
「私もアッシュさんとは同じくらいだから全滅するな」
そうして買ったホームをシープは借りることにして、しばらくここで隠れ住んでもらうつもりだ。
連絡をし終え、俺は作物の世話をし終えたら戻る。
とりあえずシープちゃんの件は安心だろう。後はジークフリード達の出番だ。
◇◆◇◆◇
ドッカーンと言う音が王都ホーム街に鳴り響く。ルーンがキレてついに魔法を使い追いだし始めそうになり、その前に爆弾でヒビキがプレイヤーを吹き飛ばした。
「なにをするんですか!?」
メガネの男がインタビューでもするような格好で吹き飛ばされ、ヒビキは睨む。
「いい加減に粘着するのやめろって言ってるんだ!!」
「粘着とは失礼な!?取材です!!報道の自由です!!」
「シ-プちゃんはどこですか!?彼女に仕事を頼みたいんです!!」
「そう言ってシープに無理矢理勧誘してただろう。出禁扱いの癖になに言ってるんだ!!」
「独占ですか!?囲い込みですか!?独占はいけないと思います!!プレイヤーみんなが楽しむように情報は隠さず話すべきです!!いますぐシープちゃんの居場所をみんなに伝えるべきです」
その時ルーンはキレたのか、PKが無いうえ、町中での戦闘行為はできないのに剣を抜刀して斬りかかる。
「衛兵と一緒に投獄される覚悟はこちらにはある。これ以上張り付くのなら容赦しないぞ!」
「くっ、一時撤退です!!」
そう言って去るプレイヤーにジークフリード達はため息をつく。
「しばらく隠れ家の情報は聞かなかったことにする」
「チッ、新フィールド探索楽しそうなのに。仕方ねえ!」
水妖精の住処を聞き、真っ先にレベリングや次のステップに行けると喜んだが、この調子では隠れ家にさせてもらう方が良い。
「すまない、シープの事で」
「お前が謝るな。ってか完全武装するなッ、こええよッ!」
「本気で一人ずつ潰す気だったねえ君………」
ルーン、ワルキューレは押しかけていたプレイヤーをPKする気のようだ。ダメージが入らないが刃物を向けたり、振るう事はできる。何度もそんなことをすれば脅迫などに該当する。GМコールされたらまずいのだが、それでもやる気だった。
「しばらくは僕らでサポートしよう。他の人達もね」
「ですね、次来たらGМコール覚悟で」
「だからそれはやめろってッ!」
そんなトップ勢達、しばらく騒動は続くようだ………
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