第27話・大きな買い物

 帰ってきた俺はくよくよせず、そろそろ第二陣やアップデートが入るし、家くらい持っておきたい。のですぐに都市に戻ってホームに買いに出向く。


「家のカタログを見せてください」


「はいはい。農園エリアで建築できるのはこれになっています」


 畑の面積を使用せずに建てられるホームを見る。うんうん、まずは高いところから見よう。


 家自体は俺だけでも買えるが、設備込みだとやっぱり100万あっても足りない。自力で100万出せるし、最大400万だな。


 三階建て地下室の家がある。テイムした従魔を預けられる場所ありでキッチン付き、各種部屋には調合部屋、鍛治部屋、木工部屋、ついでに裁縫部屋に陶芸ガラス石工部屋を用意。


 妖精部屋ってなんだろう。最大五つ追加できるから追加しておこう。家畜部屋あるじゃん、鶏は買おう。


「牛は子供生まれますか?」


「お客様の農園を確認しました。部屋数があれば子供ができますね」


 ペット付き。猫と犬を選ぶぞ。どちらも家畜の世話ができるみたい。


 キッチンもオーブンも良い奴を買い揃えよう。冷蔵庫、食器洗い。薫製室もあるじゃないか。


 ミルクがあるから、チーズ作りとバターやアイス作れるように場所を作ろう。


 セーブポイントの自室にアイテム倉庫に収穫倉庫。少し空き部屋を用意しておく。むしろ少し多いな。


 クローゼットも各部屋に充実させよう。うん、良い感じだ。


 畑買えるじゃんか、最大値まで買い揃えるよ。後から追加できる?大丈夫、現金で即支払いできますから。


「従魔の部屋はどうなります」


「各種増えていくプランがございます」


 お高いが出せない額ではない。


 合計360万、ギルドホームくらいお金が掛かった。ってかこれギルドホーム購入だよね? ギルド作らないけど良いか。


 こうして高い買い物をして俺は早速様子を見に行くのであった。


 ◇◆◇◆◇


「おおすげえ」


 新しい我が家にみんな喜び、従魔達は行ったり来たりする。


 三階建てであり、俺の部屋は一階だ。これで狭い納屋からさよならだ。その隣に大きな建物、従魔の家がある。


 早速ミルクをバターやチーズにする道具を使用。薫製室でベーコンを作り出す。


 わんこは可愛らしい牧羊犬を選んだ。猫はキジトラ。名前は『コタロー』に『チャチャ』。前からあったオーブンをキッチンに移動させて、少しホームオブジェクトを買い足せば良い家になるだろう。少しお金が無いから、作るか。


 正直部屋数とか地下施設とかバカ広い、ギルドホームだからね。一人で使うもんじゃねえよ。


「木工部屋は気に入ったかヒカリ」


「うん、いっぱい作っていいよねパパ?」


「矢だけじゃなく、テーブルとか椅子とか作ろうか」


「うん♪」


 隣の建物は従魔の家であり、かなり広い。他のプレイヤーの子も預けられるからね、広いよねそりゃ。


「………いま思うにやっちまったか?」


 そう思いながら、知り会いに連絡。ホームを買った事を伝える。おめでとうと来る中で、お祝いにおいしい物作ろうと準備する。


「鍜治場もできたし、従魔の部屋や鶏を飼える準備もした」


 従魔達の部屋を見る。ベットがあり、机があるだけで、これもプレイヤーが彩れと言うことらしい。お金を食うなこのゲーム。


 確認作業を終えて、次は刀、太刀作りだ。その前に、ケーキを焼こう。


 タルトを作れそうなのでタルトを用意できるかな? 桃が生るまでのんびりしよう。それまで鍛冶部屋は使わず、シンク達も嬉しそうに待ってくれた。


 ◇◆◇◆◇


 雪桃タルトと言うアイテムを持って、俺達はレンタル鍜治場に来る。


「おお、お前さんか。またレンタルしに来たのか?」


「いえ、ついに自分の鍜治場を手に入れることができました」


「おお、おめでとう。これでようやく半人前か? まだまだこれからだぞ」


「ありがとうございます。これはお礼です」


「お礼?なんのことだ」


「いままで鍜治場を貸していただきありがとうございます」


 従魔達もお礼を言って、ドワーフの人はそうかと嬉しそうに微笑む。


「お前みたいな奴は初めてだよ。こちらこそ大切に使ってくれてありがとう」


「これはお礼のワインとタルトです。皆さんで召し上がってください」


「おう、なにからなにまでありがとう。お前さんも頑張れよ」


「はい」


「これから何を作るんだ?」


「太刀を作ろうとしてます」


 それを聞いてドワーフは考え込む。


「……よし、お前さんなら良いだろう。歌唱『鍛冶野郎の笑い声』だけじゃなく、もう一つ『ドワーフ鍛冶師の魂ソング』を教えてやろう」


「本当ですか?」


「ああ。お前さんなら、武器を間違った使い方はしねえ。俺が保証する」


 そう言われて教えてもらい、良い事をすると良い事が返る。他のレンタル場所やお店にも出向き、お礼を言う。あとはそのままホームへと帰る。


 すぐに太刀を作る。そう思っていたのだが………


 ◇◆◇◆◇


「助けて」


 消え入りそうな声でシープと他に二人の少女が困った顔でホームにいた。俺は急いで家に上げて上げた。


「どうしたんだ?」


「迷惑プレイヤーが私達に突撃して困ってるんです」


「迷惑プレイヤー?」


 いわゆるリアルでオフ会しようとするプレイヤーや綺麗所、可愛いプレイヤーを自分のギルドに入れたいプレイヤー。


 最悪なのはあの攻略サイトのプレイヤー達。彼らからシープ達は居場所をバラされて、そういうプレイヤーに粘着されているらしい。


「ここにきてようやく撒けた」


「それは辛いだろう。ジークフリード達に連絡した?」


「お姉ちゃんがブチ切れて暴れてる。止めないし手伝うって」


 なんでもシープはリアルでルーンと親戚で姉妹のような関係らしい。仲良いのはそういうこと。


「それで君達は?」


「初めまして、攻略サイト『テイマー不思議の国日誌』の『白兎』です」


「私は『農業歴史書サイト』の『秋風』です。情報ありがとうございます」


「ああ、どうもどうも」


 白兎は高校生だろうか。秋風さんは大学生で、ルーンさんのギルドに入っているらしい。


 仲良しでサイトの情報をやり取りしているらしい。白兎は『撃滅討伐隊』に入っている。


「特にギルドに入っていないシープが集中的に酷くて」


「私達は『天秤の剣』さんにも手伝って、ギルドで守ってもらえていますがシープちゃんは。こちらも困っているんです」


「………」


 黙り込むシープちゃん。従魔が心配する中でタロウやチャチャを膝に乗せている。


「二人のギルドに入れてもらうことはできないんですか?」


 ギルドに入ればホームが安全地帯になるだろう。ギルドホームは関係者以外は進入禁止区域だ。ホームの中に引きこもるのも手だがどうだろう?


「ワルキューレは大学生ギルド、討伐隊は生産より攻略重視で肌に合わず、天秤も大人や男性が多いので………」


「んー」


 考え込む俺はならばと。


「なら俺がギルド作るんで、入るかい?」


 それにシープちゃんは目を輝かせて、二人はぽかーんと驚いた。

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