第14話・トップギルドとのお話

 翌日三日目、マッシュマンパプリカを収穫してから、ギルド【天秤の剣】は連絡したいと話していて、俺の参加は喜ばれた。俺も詳しい情報が欲しいし、そろそろプレイヤーと交流しないとキツイだろう。少なくてもイベント中は必要だろうし。


 話せるよう場所を整えると鈴谷さんが連絡してくれるらしいので、それまでは村でのクエストをこなす。


 薪が欲しいと言うクエストだったり、木の実だったり。近くの森に行くことに。


「ああ、立ち入り禁止の場所があるから、そこには近づかないで欲しい」


「そんなところがあるんですか?」


「代々、この開拓村ができる前からあるね、300年くらいかな?決して近づくなと言われてるんだ」


 地図に印を付けて気を付けて探索に出ることに。


 印は二つあり、一つは廃坑山の方角だった。もう一つは森の奥の方。こちらは気を付けないといけないな。


 薪と木の実を揃え、木材を自分の分も含めて確保する。


「伐採もだいぶ上がったな」


 タロウが薪を作るのを手伝ってくれて、早い内に村に帰る。


 途中で雑貨店を覗き、子供の様子を見る。


「さっき起きて、いただいた薬や飲み物を全部飲んだところです。おかげで昨日より楽そうでした」


「明日には回復してると良いですね」


 明日の分も渡しておいて、鈴谷さんを探す。


「よかった~丁度探そうとしてたところです~」


 そう言われてから村の教会の方に顔を出す。ここでいろんなプレイヤーと関わる事になる。


 ◇◆◇◆◇


 教会は少し大きめに作られていて、ギルド【天秤の剣】の面々が泊めてもらっているので、集まるのは不自然では無いらしい。


 他に二つ、大手ギルド関係者もいるとのことで、きっと後ろ盾になってくれるとのこと。


 とりあえず、初日に広間のプレイヤーに話しかけた青年と会う事になる。


「こんにちは、俺の名前は『ジークフリード』、ジークと呼んでくれ。ギルド【天秤の剣】のギルドマスターです」


「アッシュです。鍛冶など生産業を主体に活動してます」


「こんな形ですが、お会いできて嬉しいです。こちらから頼みたいこととかありましたから」


 なんでも攻略組、トップ層は神聖シリーズを揃えたいらしい。先に進むとアンデッド系のモンスターが出始めているし、妖気シリーズは異常状態に強くなる。どうしても揃えたり、強力な装備が欲しかったりしたかったとのこと。


「すいませんが、俺はいまだレンタル場所を借りてる身なので、作るとなるとインゴットを譲った方が良いかもしれませんね。トップ層だと、鍛冶師プレイヤーもいますよね?」


「良いんですか?」


「正直、そのインゴットが問題で、バカな人から譲れだの売れだの言われそうなんですよ」


 インゴットの作り方を聞き、ああと後ろのメンバーが納得する。ジークフリードは難しい顔をして苦虫を噛み潰したように頷く。


「………確かに、現在の攻略サイト運営している評判のギルドなら、従魔を売れと言いだしかねませんね。いまのところ市場ルートのところみたいに、従魔もNPCを通じてプレイヤーと売り買いできると保証は無いんですけど」


「あっても、この子達は俺の大切な仲間です。インゴットは譲っても、こればかりは譲れないです」


 こればかりははっきりさせないと、ジークフリードも分かりましたと頷く。すると後ろに控えていた女の子。中学生くらいのドワーフの娘がニッシシと笑う。


「それじゃ【天秤の剣】も、オレ達【撃滅討伐隊】と同じ、彼奴らと敵対するで良いんだな」


「貴方達は」


「オレは【撃滅討伐隊】のギルドマスターの『ヒビキ』様さ。これでも攻撃力と戦闘力はゲーム内一位を自負するギルドだぜ」


「彼女達は元々彼らと仲が悪いので、初めから貴方に協力してくれると思い、声を掛けました」


「彼奴ら何度も聞きに来過ぎなんだよ!!全部の情報を公開する気はねえっていつも言ってるのにッ」


 可愛らしい女の子だが、ぷんぷんと怒る。詳しく聞くと学生チームらしいので入るか聞かれた。高校生でも中学生でも学生なら大学生でもいいらしい。


「とりあえずギルドに入るのはやめておくよ。たぶん立場的にフリーの方が良い気がするし」


「そうか?まあ確かに天秤やオレら的にそうしてくれた方が助かるな」


「もう一組は」


「はい、私達ですね」


 18か9くらいの女性プレイヤーで、ギルド【ワルキューレ魔法団】のギルドマスターであるエルフの『ルーン』さん。


「こちらは大学生ギルドですね。アッシュさんの神聖シリーズにはお世話に成っています」


「マジもんの外国人らしいよ。英語教えてもらって助かるんだ」


「へえ」


 リアルの話題はほどほどにして、インゴットの情報を開示する代わりに、色々便宜を図ってもらう話をする。


「妖怪や天使か、まだ出て来てないな」


「って言うか町中ゴミ拾いにそんなイベントがあるなんて知らないぞ」


「天使は初回か、それとも報酬でランダムか。何度もやれるのでしょうか?」


「分かりません。また目立つといけないからやっていませんから」


 現状、神聖と妖気のインゴットは俺しか作れないか、手を貸してもらうしかない。他の情報は歌唱について。これは鈴谷さんに言っているからと、オマケで提示。


「兵士の歌か。オレらには必要だな」


「大地の賛歌のように上位スキルがありそうですね」


「ああ、これは少しだけど前進する情報だ」


 ゲームはいま、攻略組はどのルートを進めるかで分かれているらしい。


「港町ルートで海を目指す人がいれば、王都周辺だったり、王都より先に進んだりしてる。あとは要塞都市で王都とは別のルート探索かな? 迷いの森の時はかなり湧いたんだぜ」


「纏まっていないから、攻略にてこずってる感じだね。まあそこは個人とギルドの方針だからいいんだけど」


「俺が提供できるのはインゴットだな。俺が王都に行ければ鍜治場を変化できると思うけど」


「それは無理にしなくてもいいよ。インゴットの品質も高いし、売買できるだけでいまは満足さ」


 俺からフレンド登録を頼み込み、なにかあったら力を貸してほしいと頼む。


 了承する三人とフレンド登録して、今日は解散。イベントは協力しようと言う話で幕を閉じた。

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