外宇宙の赤字な宇宙海賊に捕まった腹黒経営コンサルタント。改善か死か、あるいは?
海原くらら
第1話 金味噌ツインテール単眼淑女
どうも逃げられそうにない。
「ソコノヒト」
俺が両手を上げていると、警備ロボのうち1機の上部ライトが点滅した。
「コチラヘドウゾ」
そいつは合成音声の定型文を発し、銃口をこっちに向けたまま微速前進を始める。
丸腰の
俺は警備ロボたちに囲まれながら、長い通路を歩かされる
やがて、先導する警備ロボが金属扉の前で止まった。
案内板には通信室と表示されている。
機械式の扉は低い駆動音を立て、ゆっくり左右に開いていった。
「ナカヘドウゾ」
警備ロボたちは俺の後ろへ回り、逃がさないよう陣形を組んだ。
俺が黙って通信室に入ると、扉が再び閉まり始める。
警備ロボたちは俺と扉の間で待機し、逃げる隙を見せてくれない。
部屋の中は薄暗かった。
モニターや電気機器は光っているが、天井の照明は消えている。
「いらっしゃぁい」
扉が閉まり切ったところで、
「歓迎するわぁ、経営コンサルタントさん」
声がするのは、通信室の一角に設置された高画質モニターだ。
表示部分は4分割されていて、それぞれに人影らしいものが映し出されている。
この距離だと、よく見えないな。
「はじめまして。ホセ・コーウィイです」
「あらあら、どうもはじめましてぇ」
とりあえず自己紹介すると、モニターから明るい挨拶が返ってきた。
入ってきたときに聞こえた合成音声と同じやつだ。
「まずは私とお話をしましょお?」
「承知しました。見づらいので、少し近づいても?」
「えぇ、いいわよぉ」
俺がモニターの前まで行くと、画面の4分割部分のうちの1つが拡大された。
そこには、異形のモノが映っていた。
円筒形の水槽に浮いた金色の脳味噌。
その後方に刺さった2つの電極から左右の斜め下に伸びる、2束の太い金色ケーブル。
さらに、脳の前に浮かぶのは金属のまぶたがついた単眼。
水槽の上には、とってつけたようなピンクリボンつきの
ニュースでしか見たことのない、この宙域でも最強最悪と呼ばれる宇宙海賊、リュートだ。
この場で逆らったら即座に殺される、だろうな。
いや、銃武装した警備ロボに囲まれている時点で今さらか。
「あら、意外と落ち着いてるわねぇ。ひどい子なんかぁ、私の姿を見てお
それで事態が好転するなら、そうしよう。
だが思考放棄して泣き叫べば好転するような事態じゃない。
内心がグチャグチャだったとしても、
「感覚が麻痺したのでしょう。自分は今日、ここに来るまで何度も死んだと感じていますので」
「あら、ごめんなさいねぇ。今日はみんな好き勝手に楽しんじゃったみたいだからぁ」
衝撃と共に船室の電気機器が落ちたところで、生命維持装置が壊れたことを予想し。
簡易宇宙服を着て廊下に出たら、窓の外で隣の船の外装が
逃げる途中、横の窓の向こうでは大量の無人迎撃機がことごとく
必死になって避難所にたどり着いたが、そこに設置された船外モニターには無防備になった船団の側面にミサイルが雨あられと撃ち込まれる光景が映っていた。
とどめは銃を構えて避難所にやってきた、
あれで死なないって思えるやつは頭のネジが外れている。
「
器用な真似をする。
「それは、ありがとうございます」
反射的に答えたが、どうなんだろうな。今の俺は冷静なんだろうか。
まるで自分に起きていることが他人事のようだ。
あの襲撃で、俺も頭のネジが外れかかってるのかもしれない。
「ま、修羅場なんて言ったけどぉ? 今回の襲撃じゃ死人は出さなかったしぃ。地味なもんよぉ。ド修羅場ってより、ピリ修羅場?」
ピリ修羅場ってなんだよ。
ピリ
「そうなんですか? 襲撃を受けた当事者としては、ショック死する者が出てもおかしくないの派手さだと思いましたが」
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